アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 03
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だ。 この角度からだと僅かしか見えない口元に、青白い輝きが充満していく。
「ーーーーっ」
それを確認する前には、僕は既にボス部屋を駆けていた。
アマリを背負っていない僕の全速力。 徹底的に鍛え上げた絶大な敏捷値を全開にした疾走は、さながらロケットのような速度を生み、ブレスを吐き出す直前のグリームアイズと転倒した2人との中間地点にギリギリで滑り込んだ。
とは言え、このタイミングで割り込んだからと言ってもできることは数少ない。
何しろ僕は頭に超が付く軽装薙刀使い。 盾を以ってしても防御が難しいブレス攻撃に対処する術はかなり限られている。 より正確に言うのならたったひとつしかない。
これが僕だけであれば、あるいは後ろにいるのがアマリであれば、僕が選択する行動は回避になるだろう。 あれだけ分かりやすいプレモーションを見せてくれているのだから回避は簡単だ。
でも、今の状況でそれはできない。 それをするくらいなら、そもそも割り込んだりはしない。
ヒュンッと空気を裂く音をひとつ響かせてから、両手を巧みに使って雪丸を回転させる。 やがてヒュンヒュンと連続的な音を奏でる頃には、雪丸が薄緑のライトエフェクトを灯し、同時にグリームアイズのブレス攻撃が発動した。
武器防御スキルを鍛えていると習得可能になる、汎用ソードスキル『スピニングシールド』。
短剣などの小型武器を除く全ての武器で使用可能な珍しいソードスキルで、物理攻撃はもちろん、ブレス攻撃すらも防いでくれる優れものだ。 ただひとつ難点があって、この技は武器の耐久値をいっそ冗談かと思いたくなるくらいの速さで削るのだ。
薄緑色をした光の円盾と、青白い輝きを放つ吐息とが衝突する。
そもそも回避を前提に能力構成を組んでいるので当然だけど、僕は防御行動が苦手だ。 それでも幸いなことに、ブレス攻撃の殆どは威力が高くても重い攻撃にはならない。 幾らかのダメージは受けたものの、特に問題もなくブレス攻撃を防ぎれた。
大技の後の技後硬直に襲われているグリームアイズから一旦視線を切って、僕の後ろで呆然としたままのプレイヤーに指示を飛ばす。
「転移結晶で撤退して。 時間は僕が稼ぐから」
「ふざけるな! 我々アインクラッド解放軍に撤退の二文字はない!」
ようやく転倒から復帰したプレイヤーたちが僕の指示に従おうとした瞬間、ようやく駆けつけたコーバッツがそう叫ぶ。
あまりの言葉に反駁し損ねた僕を見て、更に言葉を重ねた」
「貴様ら! オレンジ風情の言葉になど耳を貸すな! 我々は一般プレイヤー解放と言う大義を任せられているのだぞ!」
「だからってこのままだと全滅するよ。 それでもいいの?」
「黙れ! 我々は死を恐
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