月下に咲く薔薇 24.
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の口ぶりが、突然無理だと言わんばかりの方向へと舵を切る。
「冗談じゃねぇ!! 話が全然違うぞ!! バトルキャンプの上空じゃない、異空間でも確実に出せない。要は、俺をここに連れて来たかっただけなのか!?」
さらりと吐き出す返答に、クロウは激しく憤慨した。
『いえ。全ては、異物取り出しの目的を遂げる為の手段にすぎません』と、アイムが改めて別の野心を否定する。『強いて言うなら、私はあなた方ZEXISのやり方を踏襲した、というところでしょうか』
「馬鹿言ってんじゃねぇ!!」クロウは、何も無い頭上に向かって激高した。「重要な取り決めの場で、俺達が何時嘘をついた?」
男がくっと嗤う。人の神経を逆撫でする笑い方が、如何にも人を見下すアイムらしくて面白くない。
『かつて。クラッシャー隊の長官は、三大国家からの質問に何と答えていましたか? 黒の騎士団とソレスタルビーイングの行方は知らない。ダンクーガノヴァとZEXISの関わりは無い。…私の目撃情報とは些か異なるのです。さて、何故でしょう?』
「ちっ。…黙れよ。ノーコメントだ」
旗色の悪さから、クロウは舌打ちと共に渋々刀を収める。
こういう時、事実を引き合いに出すのがアイムの嫌らしいところだ。
虚言家が蒸し返しているのは、ZEXISが単体で現在の規模にまで膨れ上がった直後の話だ。エリア11のフジで起きた日本の反抗勢力とWLFによる人質立てこもり事件。あの事件の際、テロリスト達と対峙したゼロが黒の騎士団の名を、大塚がZEXISの名を報道の前で唱え、地球圏全体がクラッシャー隊や黒の騎士団を統括する部隊の勝利を見届けた。
非武装のまま単独で潜入し人質全てを解放したゼロの手腕は、当時魔術と評され喝采を浴びている。一方のZEXIS機はWLFのMSやジェノサイドロンを全機制圧し、中継カメラの前でソレスタルビーイングのガンダムやダンクーガノヴァが理不尽な武力だけを削ぎ落とす瞬間を見せつけた。
人質の解放と武装勢力の制圧。2つの成功を携え、ZEXISは「正義の味方として振る舞う」という印象をエリア11内外に強烈に焼きつけている。
ならば、今尚ゼロが率いる黒の騎士団はクラッシャー隊と共にあるのか。誰もが極自然にそう考えるだろう。根拠となる情報は、大塚自身が大々的に発信したも同然だ。
しかしフジ以降、黒の騎士団の居場所について三大国家から問われ続けても、大塚は頑として「知らない」の一点張りを貫いた。
勿論、事実ではない。当時、大塚だけでなくエルガン代表までもが、黒の騎士団やソレスタルビーイングがクロウ達他のZEXISメンバーと共に龍牙島を拠点にする事を了承していたのだから。
ZEXISは、虚偽や隠蔽と共に歩む事でようやく纏まっている組織だ。良好な結果の下には脆弱な地盤が存在する。エルガン代表と大
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