暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 17. Talkin’ Red Heath, Leavin’ Black Cat
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請っても金やアイテムは出てこねえ。それなら、数が多くて実入りのいいボリュームゾーンの連中を狙うのは当たり前、なのかもな。

 俺らのやってる巡回モドキの散歩がせめてその抑止力の欠片にでもなってることを願いつつ、今度は俺から質問を切り出した。

「黒猫団連中の上達度合いはどうなんだよ。少しはマシになったか?」
「ああ、ここ三日の講習で、何とか形にはなってきたよ。下地がまだ固まりきっていない分、飲み込みも早いしね。
 何より、リーナさんに散々シバかれたおかげで、メンタル面のタフネスが高いように思う。一護君との組手も、戦闘中の立ち回りに良い影響を与えているようだね」
「むぐむぐ……つまり、一護が『弱い者いじめ』といったあの訓練は、実に的確な教育だったという事。さすが私」
「自分で言うか、それ」

 お茶請けのクッキーを頬張る相方を半眼で見やる。両頬を焼き菓子で膨らせながら得意げな無表情を浮かべるという顔芸を見せつけてきたが、もうコレを見て早半年だ。ぶっちゃけ、もう慣れた。
 図々しくクッキーのお代わりを要求するリーナに律儀に応えてやりつつ、戦闘指揮指導官の話は続く。この三日間、黒猫団はフィールドに出ることなく、ひたすら座学と模擬戦を繰り返してきていたらしい。俺らが携わったのは、せいぜい模擬戦の仮想敵役くらいだ。ヒマつぶしに受けている仕事とはいえ、お守対象の成長度合いは気になるトコだ。

「やはり、唯一の前衛であるテツオ君の伸びが素晴らしいね。これまで単身で戦線を支えてきただけあって、根性がある。反応も素早いし、盾の扱いを覚えただけで動きが見違えたよ。それに、リーダーのケイタ君の動きも良い。学んだことをすぐに実践に活かし、状況に応じて的確な動きができるところは、流石リーダーといったところだろう。
 ササマル君とダッカー君は、まだまだ及び腰なところがあるが、それでも最初に比べれば、ちゃんと相手の動きを見てから考えて動けるようになってきた。あとは、場数をこなしていけば、順調に上達していくだろう。ただ――」

 教え子の成長を語る教員の面構えで連中の成長を滔々と語ったディアベルだったが、そこで言葉を切り、少し言いづらそうな顔をした。

「サチさんに関しては、残念ながら初期との変化はあまり見られない。極端に臆病な性格が災いしてか、ダメージがあろうがなかろうが、敵の攻撃を受けることや逆に攻撃を当てること、言ってしまえば、戦闘行為自体に怯えてしまっているようだ。
 これはオレ個人の意見だが、彼女は前衛には向かないと思う。前衛職足り得るステータスでないことも理由の一つではある。だが、最大の問題は、その臆病さからくる胆力の不足だ。敵の攻撃を受け止め、弾き返す役割を担うポジションにとって、その問題は余りに大きい」
「確かに、敵の攻撃に目ぇ瞑っち
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