Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 17. Talkin’ Red Heath, Leavin’ Black Cat
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
アの攻略を進める間だけ、二十番階層を主住区で巡回しておいてほしいの。貴方たち『死神代行』『闘匠』コンビの風貌はボリュームゾーンでもかなり知れている。少し歩いて顔を見せるだけで、十分な効果があるはずよ」
「後半の方は貴女に言われたくないけど……まあ、それくらいなら」
「あ、おい! 勝手にめんどくせー事引き受けてんじゃ――」
「ご飯を奢ってくれた借りは、一護を除いて必ず返す。それが私のモットー」
「テメエ、いちいち喧嘩売りやがって……」
こめかみをヒクつかせる俺をほっぽったまま、ヒースクリフが言うところの「益」、つまり、俺らによる巡回作業(ほぼ無償)が俺たちの生活の中に新しく組み込まれることになっちまった。
◆
「……で、その見回りの成果はあったのかい?」
その三日後の夕方。
黒猫団が実技講習を受けている間、俺たちはSSTAの会議室でディアベルと落ち合っていた。状況報告会、なんて大したモンじゃなく、互いに持ってる情報を出し合って駄弁るだけだったが。
「さーな。オレンジ連中の行動自体、俺らの見回りする五日前からなくなってんだ。見回りの効果があんのかねーのかなんて、わかりゃしねーよ」
「そうか……しかし、随分と迷惑な連中もいたものだね。ゲームの中でまで強盗とは。いや、むしろゲームの中だからこそ、と言った方がいいのかもしれないな」
向かいの椅子に腰かけたSSTAの教員サマは、そう言って手にしたカップの紅茶を一口啜った。教員印の白いローブが、窓から差し込む閃光によって橙に染まっている。
「オレたちが閉じ込められているこのSAOは元々MMORPG。今やデスゲームとなってしまったとはいえ、ゲームであることに変わりはない。そう考えて、軽い気持ちで犯罪行為に走ってしまうのだろう。昔から、オンラインゲーム内での非マナー行為というものは往々にして問題となってきた。今回の件も、連中からすればその延長線上でしかない、というところなのだろう」
「本物の命がかかってるっつーのに、面倒な奴らだ。つーか、第一層じゃそーゆーのはねえのかよ。弱いプレイヤーが山ほどいんだし、連中からすりゃあ格好の的じゃねえか」
「ああ、それは心配ないよ。ここ『はじまりの街』周辺は、キバオウさんの『アインクラッド解放隊』の皆が警備してくれてるからね。個々のレベルでは劣るかもしれないけど、こちらは人数が多い。数の利に押し勝てる程、連中の戦力は高くないだろう。
それに、ここに住む人たちはオレたちのようなプレイヤーを除いて最低限のものしか持っていないからね。襲っても旨みがないんだろう」
あのトゲ頭の警備ってのがイマイチ頼りねえが、まあ確かに、『はじまりの街』で解放を待ってる連中は基本的に安全圏外には出ねえからな。強
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ