暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 17. Talkin’ Red Heath, Leavin’ Black Cat
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 血盟騎士団。

 人の面やら名前やらを覚えんのが苦手な俺でも、その名には聞き覚えがあった。聖竜連合と並び称される二大攻略ギルドの一つであり、メンバーは高レベルの剣士のみで構成されている。
 白地に紅の染め抜きが入った揃いのデザインの衣装を身に着け、ブッ飛んだ強さを見せつけた25層ボスの多腕型ゴーレムが相手でも、毛ほども臆することなく攻勢を強めていった、相当にタフな連中だ。初めて見掛けたのは確か23層のフロアボス攻略戦だったんだが、それ以来ボス戦には必ずこのギルドの名前があったと思う。最も、そのトップの顔までは覚えちゃいなかったけどな。

 追加注文したモンブランをフォークで突き崩しながら、俺は真向かいに座る紅ローブの男に視線を向ける。手にしたブラックコーヒーをゆっくりと口に運ぶ姿は、どう見てもそんなガチ攻略集団の長には見えない。剣を振るよりも、どっかの研究所あたりに籠ってフラスコ振ってる方がお似合いって感じの印象を受ける。その目に宿った重厚な光さえなければ、だが。

 ……だがまあ、その辺はどうでもいい。

「……君達も知っての通り、現在28層の迷宮区へと続く道は、多数のギミックのよって遮られている。我がギルドも他の攻略組諸君と連携して仕掛けの解除に挑んでいるが、如何せん数が多い。全てを解除しきり、迷宮区の踏破へと乗り出せるようになるには相応の時間が掛かるだろう」
「…………よぉ」
「そこで、この機会に新しいメンバーの勧誘を行い、血盟騎士団の戦力を増強することにした。無論、対象者は誰でも良いわけではない。腕が立つ剣士であり、強靱な精神力を持ち、何よりこのSAOを攻略せんとする確固たる意志を持っていなければならない。そこで白羽の矢が立ったのが君たちだった、というわけなのだが――」
「……よぉーってば」
「ん? 何かな、一護君」
「何かな、一護君……じゃねーよ。アンタの勧誘は出会いがしらに断っただろ。もう用はねーはずだろうが。なんでまだいるんだよ」

 怪訝そうな顔でこっちを見てくるヒースクリフに、俺はイラつきを多分に含んだ声を飛ばした。昼間の繁盛時だったら確実に白い目で見られるであろうガラの悪さで、だ。
 最も、昼下がりの閑散としたレストラン内には俺ら含めて三組しかいない。よって、俺にそんな目を向けてくるのは斜向かいでハーブティーを飲むアスナだけだ。リーナは相変わらず、無反応でケーキを食べ続けてる。

 会うなり奴が率いるギルドに勧誘されたわけだが、俺は即座に辞退した。安全マージン無視して迷宮区に突っ込む俺らにはギルドの規律がジャマだし、逆に連中からしても勝手に死地へ特攻されるのは面白くないハズ。誰も得しねえだろ、そう言ってざっくり断った。
 それに対し、まあそう言わずに、と穏やかに応じたヒースクリフは、やれ君たちが無
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