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彼に似た星空
6.紅茶とショートブレッド
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たんデスカ?!」

 しかし私も、もう我慢出来ない。私が大切にしているティータイムに提督を呼んだのは、姉妹たちを不安に陥れるためでも、提督を不快にさせるためでもない。ただ、あの日私に羊羹と緑茶の組み合わせを教えてくれた提督にお礼がしたかっただけなのだ。それなのに今、提督は理解できない理由で怒り、私の姉妹を不安に陥れている。いくら提督でも、それは許容出来ない。提督も大切だが、私は私の姉妹たちも大切だ。私は姉として比叡を守らなければならない。榛名や霧島が理不尽な理由で叱責されるのなら、私はその矢面に立たなければならない。

「教えてくだサイ! テートクは今日のティータイムの何が気に入らないんデスカ?!!」
「何がだと…? ここまで言っても分からんのか金剛……ッ!!」

 そこまで言うと提督は、私の方を向いた。意外にもその顔に浮かんでいた表情は、怒りではなく悲しみだった。

「…なんで今まで呼んでくれなかったぁああん?!!!」
「……what?」
「はい?」
「ひぇえ?」
「ブフゥウッ?!」

 提督は目に涙を浮かべていた。霧島は口に含んでいた紅茶を吹いた。榛名は榛名らしからぬ気の抜けたポカンとした表情を浮かべ、比叡は顎が外れたかのようにあんぐりと口を開けていた。

「なんで今までこんな美味しいものを教えてくれなかったぁああん?!!」
「ど、どういうことデスカ?」
「だってそうだろう? おれは金剛が着任してすぐ緑茶と羊羹の組み合わせを教えたのに…それなのに…今の今までお前たち姉妹だけでこんな美味しい組み合わせを楽しんでたなんて…おれは…おれは提督として悲しいッ!! ぐすっ…」

 ああ…そういえば彼はちょっとエキセントリックなところがあることを忘れていた。優しい性格に隠れがちだが、時折妙なことを口走り、変な行動に走ることがある。今日の彼がそんな感じだ。彼はこの時鼻声になっていた。多分、本気で悲しかったのだろう。

「て、提督…泣いちゃ駄目です…そんなに悔しいんですか…?」
「当たり前だッ! こんな悔しいことがあるか榛名ッ!!」

 理由はさっきとまったく正反対なのだが、榛名はさっきと変わらずおろおろしている。目に悔し涙を浮かべる提督をなだめるのに必死だ。

 一方の比叡はホッと胸をなでおろしていたが……

「よかったぁ〜…私、何か司令に失礼なことしたのかと思って…」
「比叡」
「はい?」
「お前、一週間金剛のお菓子禁止」
「なぜッ?!」
「さっきの調子だったらもう一生分×10回ぐらい食ったろ?! お前の分はこれからおれが食べる」
「お、横暴です! それでは金剛お姉様分の補給が…!!」
「これは命令だ。比叡は今後一週間、金剛の作ったお菓子を食べることは禁止とする。復唱しろ比叡」
「ひぇえええ
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