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彼に似た星空
6.紅茶とショートブレッド
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いつもあんな調子で食ってるのか?」
「いやあの…金剛お姉様が作ったお菓子の時はいつもあんな調子ですけど…」

 いつも元気な比叡ですら、提督のこの尋常でない雰囲気におされ、語尾がハッキリしなかった。それほどまでに、今の提督には凄みを感じた。ある意味では深海棲艦以上の。

「榛名」
「は、はい…」
「お前はどうだ」
「榛名は…榛名も金剛お姉様のお菓子と紅茶は好きですけど、さすがに比叡お姉様ほど勢い良く食べることは…」
「霧島は?」
「艦隊の頭脳担当ですから甘いものは好きですが、比叡お姉様ほどの食欲は…」
「そうか……」

 ふーっ…と提督は深いため息をつき、それを受けて比叡が気の毒になるほど狼狽え始めた。こんな提督は見たことがない。これまでは人当たりのいい優しい人格だった提督なのに、今、自分の目の前にいる提督は、まるで別人のように冷酷な口調で私達姉妹に厳しく迫っている。

「あ…あの〜…司令…?」
「て、テートク…」
「金剛」
「は、ハイっ!!」
「お前たちはいつもティータイムを楽しんでいるといっていたが、いつもこの紅茶を飲み、こんな菓子を食べていたのか」
「い、いえーす……紅茶は銘柄やブレンドを変更するときはありマスが…今日飲んでるのは割りとよく飲むやつデス」
「……」
「お茶請けもスコーンとかキューカンバーサッドイッチとか色々デスけど、今日は特に自信のあるショートブレッドにして見まシタ……?」
「なるほど……」

 提督はここまで言うと腕を組み、眉間にシワを寄せ、実に険しい表情を浮かべた。執務室で秘書艦として提督とともに過ごすようになってけっこうな時間になるが、その中でこんなに険しい表情の提督を見たことは、私の記憶にはない。

「て、テートク……?」
「ん?」
「ひょっとして、怒ってマスか?」
「ああ。おれは怒っている。おれ個人としてではない。お前たちの上官として、この鎮守府の最高責任者として、お前たちには怒り心頭だ」
「why? どうして? 私たち、何かテートクの気に触ることでもしたんデスカ?」
「ああ。そのとおりだ」

 提督はそこまで言うと、テーブルの上の拳を握りしめ、額に血管を浮かべて俯いた。本当に怒りを押し殺し、今にも爆発しそうな自分を抑えているのが伝わってきていた。私達が一体何をしたというのか…思い当たるフシのない私には皆目見当がつかず、私は頭が混乱した。

 それは他の姉妹も同じようだった。榛名は先ほどからおろおろしており、冷静沈着な霧島も困惑しているのが私には分かる。比叡は気の毒になるほどだらだらと冷や汗を流し、いたずらがバレてこれから母親に叱責される子供のように萎縮しきっている。それほどまでに今の提督は恐ろしい。

「テートク! 私達の何がテートクをそこまで怒らせ
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