5.出発
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の時初めて理解した。
その後二人に導かれ、私はなんとかフェリーに乗ることが出来た。どうやら根本的に乗り場を間違えていたらしく、乗り場はチケット売り場を中心に見て、ちょうど反対側だった。霧島と鈴谷も、まさか私がチケット売り場の向こう側にまで迷いこんでいるとは思わなかったらしく、私を見つけた時は二人もかなり焦り始めていた頃らしい。
「いや…ハァー…なんとか間に合って…ハァー…よかったです…ハァー…」
「ホントだよ…まさか出だしからこんなことになるとは…ゼェ…」
「うう…姉の威厳、まるで無しデース……」
甲板でひとしきり3人で息を整えた後、私は二人の服装に初めて気付いた。鈴谷はブラウンのジャケット、霧島はあの見慣れた巫女装束。二人共、艦娘の時の服そのままだった。
「今気付いたんデスけど…ゼハー…二人共…あの時のままの服…なんデスネ…ゼハー」
「鈴谷は、ゼェ…まぁ別にこのままでもゼェ…いいかなーって。この服には思い出がいっぱい詰まってるし…ゼェ…」
「私はほら…あの日にちょうど私の部屋が壊されて、服も全部無くなったしハァー…本当はお姉様が出発する前にお姉様と服を買いに行きたかったんですけど…ハァー…」
「oh…そ、それはちょっと悪いことをしたネー…」
「私も昨日の夜のうちにお姉様に言っておけばよかったですね…霧島の計算ミスでした」
そういえば昨日の夜、私が今日に向けて自分の服を準備していた時に、一緒に住む霧島は何か言いたそうな顔をしていた。結局何か言おうとしたところで霧島の携帯が鳴り、何も話せなかったけれど…霧島はこの話をしたかったということを、私はやっと理解した。
「んじゃ霧島、あっちに着いたら、まず霧島の服を買うデース! それでいいデスカ?」
「よろしいんですか?」
「いいに決まってるネー! 何も気が付かなかった姉の罪滅ぼしと思えばいいデース!!」
「ありがとうございますお姉様!!」
本当に嬉しそうな顔をする霧島を見て、やはり霧島は私達4人の中では一番年下ながら、一番落ち着いた性格をしているんだなぁと私は思った。たとえばこれが、あの比叡なら…
『ひぇえ〜!! お、お姉様!! 私、服がありませんッ……?!!』
『よほぉおおおおおい! お姉様とショッピングだぁあああああ!!』
と大騒ぎして私に抱きついていただろう。そして、フとそんなことを思い出し、自らの心にこうやってダメージを与えているあたり、私はまだあの日のことを引きずっているといえる。
「ちょっと霧島さん、あれあれ」
「ああ、そうだった忘れてました…」
鈴谷にそう促され、霧島は自分のスポーツバッグから一本の水筒を取り出した。
「金剛お姉様、これからティータイムをしませんか? 紅茶は準備してあります」
「こ
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