5部分:第五章
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第五章
そうしてであった。彼女が扉を開く。そのうえで薫に顔を向けて来て。
「入ろう」
「この中に?」
「ええ、入ろう」
こう言って誘ってきているのだ。
「中にね」
「中に入れば」
「全部わかるから」
断ることを許さない、そうした何か得体の知れないものすらあった。そうしてだった。
薫の足は自然と前に出た。そうしてだった。
中に入る。菖蒲に誘われるまま。そして中に入ったところで扉が閉められた。
その中は聖堂に見えた。十字架にかけられた主と黄金の祭壇がある。それが薄暗いキャンドルの形の灯りで照らされている。その中でだ。
「えっ・・・・・・」
薫はその中にある光景を見て唖然となった。何とそこに全裸の少女達がいて互いに身体を貪り合っていたのだ。その光景を見て言葉を失ってしまった。
その中には同じ部屋の先輩達もいた。それぞれ複数の少女と身体を絡め合い唇を吸っていた。しかもその相手の少女達もだ。
見れば彼女のクラスメイト達もいる。いや、見ればどの顔も彼女が知っている顔ばかりだ。誰もがこの学園の生徒達だったのである。
それを見てだ。唖然となっている彼女にだ。後ろから菖蒲が声をかけてきた。
「ねえ」
「これって一体」
「皆がやっている儀式よ」
それだというのである。
「これがね」
「儀式って」
「そうよ、皆が皆のことを互いに愛し合う儀式の場所なのよ」
後ろからの菖蒲の言葉はこのうえなく妖しいものだった。言葉それ自体に妖しい響きが宿っている、まさにそうした言葉であった。
「これはね」
「そんな、けれどこれって」
「どうかしたの?」
「女の子同士なのに」
まずはそのことを言った。その震える声でだ。
「主の御前で」
「人はどうして救われるのかしら」
また後ろから言ってきた。
「それはどうしてかしら」
「どうしてって」
「人は罪を犯すものよ」
まずはそこから話すのだった。
「そう、罪を犯すから救われるのよ」
「罪を犯すからこそ」
「だったら。罪を犯さないといけないわ」
これが今の菖蒲の言葉であった。
「だからね。今からね」
「罪を犯すの」
「愛し合う罪を」
その罪をだというのだ。
「今から薫ちゃんもね。それに」
「それに?」
「女同士で愛し合うこと」
「それがどうしたというの?」
「それは最高の快楽なのよ」
やはり今までの菖蒲の言葉ではなかった。何処までも淫靡で妖しく、底のない闇に引き込むような、そうした言葉を出してきているのだ。
「女同士だからわかることなのよ」
「女同士だから」
「薫ちゃんも」
ここで彼女の名前も言ってきた。
「それを楽しんで」
「私も」
「さあ」
その言葉と共にだ。唇を奪われた。それまで後ろにいた菖蒲
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