マブラヴ
1205話
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まぁ、普通に考えれば、あの状況でいきなり姿を消した俺が利益を得るとは思えないだろうしな。
「結局は向こうの世界と行き来出来るようにはならなかったが、得た物は非常に大きい。それに、この他にも大事な相手が2人も出来た」
そう告げた瞬間、何故か恭子の表情が驚きからジト目へと変わる。
『アクセルさん、またなんですか？』
「否定はしない。……もっとも、結局こっちに戻ってくる時に連れてくる事は出来なかったが」
『それは……じゃあ、その人達も向こうに？』
「ああ」
『それも、ホワイトスターと行き来出来ない状況で？』
「向こうの世界の座標を調べる事が出来なかったからな。結局そうなった」
『……なのに、何故そうしていられるのですか？ もしアクセルさんがその人達をその……好き、なら、会いたいと思うのでは？』
「勿論思ってるよ。あの2人を手放すつもりはない」
『でも、向こうの世界とは行き来出来ないんですよね？』
俺の言っている意味が分からないといった困惑の表情を浮かべる恭子。
まぁ、その気持ちは分からないでもない。確かに普通ならもう再会出来ないと諦めても不思議ではないのだから。
だが……
「恭子、俺達が誰か忘れたのか？ 俺達はシャドウミラーだ。これまで幾度となく不可能を可能にしてきた存在だ。そんな俺達が、ただ座標が分からないというだけで諦めると思うか？ 現に、技術班の方に依頼して向こうの世界……Fate世界の座標を何とか出来ないか試して貰ってるしな」
『凄い、ですね』
「そうでもない。俺が出来る事をやってるだけだ。それに……Fate世界に残してきた女が、凛が先にこっちに来る方が早いかもしれないしな」
『え？ どうやってですか？』
「そういう魔術を研究してるんだよ。俺達の使ってる科学じゃなく、魔術で世界の壁を越えて渡ってくる可能性は十分にある。……綾子も、な」
超の付く一流魔術師の凛と、俺の血を飲んで半サーヴァントと化した綾子。
あの2人であれば、世界の壁を越えるくらいは平気でやってしまいそうな気がする。
……いや、気がするじゃなくて確実にやるといった方が正しいか。
『羨ましいですね』
俺の言葉を聞いていた恭子が、ポツリと呟く声が聞こえてきた。
『アクセルさんにそこまで愛して貰って、更にはアクセルさんをそこまで愛して……女としては、間違いなく幸福ですよ。……まぁ、アクセルさんの愛する対象が複数なのはちょっと問題あるでしょうけど』
「褒めてるのか貶しているのか、微妙なところだな」
『ご自分の胸に手を当てて考えてみてはいかがですか？』
普段は大人っぽい恭子だったが、どこか拗ねたように呟くその姿はいつもより若干幼く見える。
『それに……あら？ ちょっと待って下さいね
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