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逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に
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うの世界を、村の外へ出るでもなくジッと見てる。
 急激な運動と焦りで爆発しそうな心臓を抑えつつ近付いても、反応が無い。気付いてないのか?
 ……違う。俺を見る気が無いんだ。
 俺でも俺の両親でもない何かを、こいつはずっと……待ってる。この場所で待ち続けてる。昨日も、多分その前も、その前の前も。
 ずっと此処で
 「なにを待ってるんだ?」
 感じたままの問いに、コーネリアは
 「わたしのじかんを待ってるの」
 やっぱり俺を見ようとせずに答えた。
 「わたしを作ったじかんを待ってるの」
 「……っ!」
 耳が赤い。まだ熱が下がってないんだ。なのに家を出て……こいつは多分、本当の家族を待ってる。
 自分を置いて出て行った母親の帰りを、ずっと待ってたんだ。
 「お前……」
 俺の家で、俺と同じ部屋で、同じ時間を過ごしてると思ってた。
 けど、違った。
 体を壊すくらい俺達に気を遣って、遠慮して、距離を置いて……。
 ……一人、だったのか……?
 一緒に育ったと思ってたお前の心は、最初からこの村の何処にも無かったのか?
 そんな……そんな寂しいのってないだろ。
 俺が此処に居るのに。
 お前を捨てた母親なんかより、俺のほうがずっと長く一緒に居たのに。
 俺を見てよ。薄情な親なんかより、俺達を見てよ。
 ねぇ、コーネリア。
 こんな所で一人ぼっちにならないで。一人ぼっちなまま死んでしまわないで。
 俺の傍に居て、俺を見てよ……コーネリア……!



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