暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に
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ただけじゃないのか。
 なんでそれで過労になるんだ。
 「あいつ、いったい……」
 ……そういえば俺、あいつと同じ部屋で寝てるのに、あいつより先に起きた事が一度も無い。水を汲んでる姿もまともに見てないけど……母さんが料理を主にしてるなら、四人分の水を毎日用意してるのはあいつじゃないのか。飲む用の瓶は朝になるといつもいっぱいになってたし、それに
 「……!」
 もしやと思って外に出てみれば、薪割り場が綺麗に片付けられてる。
 深く考えてなかったけど、毎回投げ遣りに使ってる筈のこの場所がいつもさっぱりしてたのは何でだ?
 父さんや母さんは別の仕事で手一杯だし、今は完全に俺の仕事場と化してるんだぞ。
 二人が黙って綺麗にしてくれる訳ないじゃんか!
 「…………あ……あああ!」
 昼前にやる事があるって言ってた、あれは。
 あいつ……俺が投げ出した仕事を、全部肩代わりしてたんだ!
 自分の仕事をしながら、俺がサボって楽した分も全部背負ってた! 多分、他にも小さい事大きい事をたくさん。
 その所為で……!
 「いやだ……」
 俺が、自分の仕事をちゃんとしなかったから。
 俺の所為で、あいつが居なくなる。
 ずっと一緒に居たコーネリアが、死ぬ。
 そんなの、嫌だ!!

 「ウェルス!? アンタ、こんな夜中に何処へ行って……」
 「良いから、この薬草をあいつにあげて! コーネリアを助けて!」
 夜の林に飛び込んで、滋養に富む薬草を掻き集めた。
 夜は危険な獣が多いとか、枝で体中に傷が付くとか、そんなのどうでもいい。
 コーネリアが居ないと駄目なんだ。
 あいつが居ないと、俺は「当たり前」の日常に居られないんだ。
 絶対、失くしたくない!
 「コーネリアを助けて! 助けてよ!」
 「ウェルス……」
 父さんに頭を撫でられながら、疲れて眠るまで泣き叫び続けた。
 俺はバカだ。正真正銘のバカ野郎だ。
 楽な仕事なんか、ある訳ないのに。自分の仕事が一番面倒で辛いとか、そんな筈ないのに。
 手を抜いたら、抜いた分は誰かがやるんだって、どうしてそんな基本的な事も解らなかったんだ!
 「ごめん……ごめんな、コーネリア……」
 ちゃんとするから。俺、これからはちゃんとするって約束するから。
 お願い、起きて。死なないで。
 俺の傍から居なくならないで……っ

 「あなた! コーネリアが!」
 朝。
 母さんの悲鳴で飛び起きて部屋を覗けば、あいつが居ない。
 あんなに熱かった体を埋めてたベッドなのに、触ると冷たい。
 何処へ……
 「そうだ。昨日、あいつが立ってた場所!」
 「ウェルス!?」
 家を飛び出し、村の入り口まで全力で走る。
 ああ、やっぱり居た。
 寝着姿のコーネリアは湖を……その向こ
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