Side Story
共に在る為に
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…
「ごちそうさまでした」
両手を合わせたコーネリアの言葉でハッと我に返る。
あれ? 俺、いつの間に帰って来たんだ? しかも、夕飯はしっかり食べ終わってるとか。
何これ怖い。
「ウェルス、皿貸して」
「ん? はい」
コーネリアが差し出す手に、空の皿をひょいと乗せる。
一通り集めた物を少ない水で洗い、丁寧に拭いてから棚へ戻す。
それが終わったら、今度は米を炊く下準備を始めた。
……改めて観察してみると、忙しく動き回ってるんだな。俺とも両親ともあんまり話してないし……
え。ちょっ
「コーネリア!」
ザルに米を掬ったと思ったら、いきなりバタッと倒れた。
慌てて駆け寄り、横向きに倒れた体を抱き起こす。
「え!?」
熱い。なんだこれ、コーネリアの体が滅茶苦茶熱い!?
「退きなさい、ウェルス! アンタは触っちゃ駄目!」
母さんが俺からコーネリアを奪って抱え、一階に在る両親の部屋へ運んで行く。
肩越しに少し見えたコーネリアの顔はありえないほど真っ赤に染まって、凄く苦しそうに歪んでた。
「父さん、あれ何? あいつ、どうしたの!?」
「落ち着け、ウェルス。俺は医者を呼んで来る。お前は此処を片付けるんだ。良いか? お前が慌てても何も解決しない。やれる事をやれ。判ったら動け!」
「父さん!」
玄関扉を開いた父さんは、月が光る夜の闇へ溶けて消えた。母さんは部屋に入ったまま出て来ない。
俺は……そうだ。慌てても仕方ない。
物置の箒を持ち出して、散らかった米粒を集める。
……おかしいな。どうしてこんなに集まりが悪いんだ? 大した量じゃないのに。
「コーネリア……」
息苦しそうだった。汗が滲んでて。触れた熱を思い出すと、俺の手まで熱くなったみたいに震える。
……大丈夫だよな? 父さんが医者を呼んで来るって言ってたし、母さんが看てるから大丈夫。
大丈夫だ。きっと……
「手は尽くしました。これで治まらなければ、残念ですが」
「そんな……なんとかならないのですか!?」
「彼女の体力次第と言いたい所ですが、今回の場合は過労が病を引き込んでいます。此処まで体を酷使した子供なんて、聞いたことありませんよ」
「コーネリアは辛いとか苦しいとか、一言も……こんなになるまで一言も言ってくれなかったなんて……!」
「心配を掛けたくなかったのでしょう。とにかく、今は見守るしか」
「コーネリア……ああ……っ! ごめんなさい……ごめんなさい!」
軽く開いた扉の奥。眠るコーネリアの周りで、父さんと医者が泣き喚く母さんを慰めてる。
コーネリアが倒れたのは、過労が原因の病気。体を酷使した所為。
……酷使って何だ。
朝早く水を汲んで、手伝う程度に皿を洗ったりして
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