暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 02
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いるアマリたちを尻目に、僕は下げていた警戒レベルを今度こそ最高まで引き上げていた。
 クラインさんや風林火山の面々、そして当然アマリたちとも違うプレイヤーの反応が僕のマップに表示されているのだ。 その数は12。
 それだけで誰が来たのかは分かる。 そして、その後に起こるであろう面倒ごとも、大体の予想がついた。 僕がため息を吐く頃にはみんなも気がついたらしく、警戒の面持ちで安全地帯の入口に視線を集中していた。

 そして現れるのは黒鉄色の金属鎧に身を包んだ一団。 つい数時間前にニアミスし、その時は遭遇を避けた軍の連中だ。
 見た時よりも分かりやすく疲労しているのは当然だろう。 何しろ安全マージンを取れていない74層の迷宮区を踏破してきたのだ。 むしろ死者が出ていないことが奇跡とさえ言える。
 12人と言う大所帯なので連携はかなり難しいだろうけど、そこを徹底的に訓練したんだと思われる。 たとえ迷宮区であろうとも基本的に敵は1体か2体で出ることが殆どで、多かったとしても3体程度だから、連携さえなんとかなれば大人数である分危険は少なくて済む。 それでもそんな戦闘は神経を使うので、疲労して当然だ。

 軍の一団を率いているらしい先頭の男が「休め」と合図を出すと、残ったメンバーは崩れるように座り込む。 そんな仲間の様子に気を配るでもなくこちらに近づいてきた男は、僕たちの先頭に立ったキリトに愛想のない声で語りかけた。

 「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」

 ヘルメットを外して口にした名を、僕は記憶している軍の情報から照会する。

 コーバッツ中佐。
 アインクラッド解放軍の階級制度の正確な仕組みは分からないけど、佐官を名乗っている以上、そこそこ高位のプレイヤーだろう。 その名には聞き覚えがあって、確か軍の中でも極めて野心的なキバオウの一派に属していたはずだ。
 キバオウ派はオレンジの捕縛を主任務としている一派でもあるので、僕とは衝突の機会が多かった。

 短く名乗り返したキリトに対して頷くと、そのまま横柄な口調で続ける。

 「君らはもうこの先も攻略しているのか?」
 「……ああ。 ボス部屋の手前まではマッピングしてある」
 「うむ。 ではそのマップデータを提供してもらいたい」
 「て、提供しろだと?? てめぇ、マッピングする苦労が分かって言ってんのか??」

 横暴極まる要求に声を荒らげて異議を唱えたのは、キリトではなくクラインさんだった。

 マッピングの苦労は尋常ではない。
 何しろ、いつモンスターが出るかも分からない道をトラップに警戒しながら進み、そして戻るを何度も繰り返して手に入れるものだ。 その危険度と苦労は言うまでもないだろう。
 だけど、中佐を名乗るこの男は止まらない。

 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ