第十九話 夏ですその八
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「これでおぢばがえりのひのきしんとかは」
「正直地獄よねえ」
「おぢばにしろ大阪にしろ暑いから」
大阪の暑さも尋常じゃありません。普通に難波とか行くとうだります。蜃気楼が見えそうです。
「だからかなりね」
「夏はあの半被は」
「冬はいいのだけれど」
今は遥かな未来のお話です。
「夏はね」
「確かにね」
また口々に言い合います。
「他にいい服ないの?黒以外で」
「ストライプね」
彼女は言いました。
「縦縞のね」
「縦縞の?」
「そう、それ」
こう言うのでした。
「あれもいいのよ」
「そうなの」
「じゃあ私服はそれにする?」
「そうね」
入学してから私服を着ることってかなり減りました。やっぱり学校の寮なんで着る服は制服が多いです。あと寮の中や外出の時は絶対に半被着用です。
「黒かストライプね」
「これも工夫ね」
「それだけで違うの」
「違うわよ。ただ」
「ただ?」
彼女はまた言ってきて。私達もそれに応じます。
「一つだけ気をつけて」
「!?何を?」
「横は駄目よ」
こう私達に忠告してきます。
「これだけは絶対にね」
「ああ、そうか」
「それはね」
これは皆すぐにわかりました。そういうことです。
「横にしたら太く見えるのね」
「そういうこと。だから着るのは阪神」
つまり縦縞です。阪神といえばあの縦縞です。まさに猛虎です。
「巨人は駄目なのよ」
「あんなの関西で着たら喧嘩売ってるようなものよ」
「センス悪いしねえ」
「そうよね。何が球界の紳士よ」
もう誰も信じていない巨人の自己宣伝ですね。前から思っていましたけれど巨人って北朝鮮にそっくりなような。球界の独裁国家でしょうか。あのオーナーが金正日で。
「あの番長といいね」
「関西の恥よ」
本当にそう思います。
「あいつ西武時代は全然違ったらしいわよ」
「そうなの」
これは私達は全然知りません。何かヤクザ屋さんみたいで走れない、守れない、怪我だけ多い、口だけ、頭も如何にもよくなさそう、そんなイメージしかないんです。少なくとも私は。はい、私はあの選手が嫌いです。ついでに言えばあの球団のよいしょばかりしている落語家も嫌いです。
「足速かったんだって」
「嘘でしょ」
「それはないわよ」
皆それは信じようとしませんでした。
「守備もファーストだけれどよくて」
「絶対違うわよ」
「それ別人よ」
「そうそう、何であいつが」
皆信じようとしません。当然ですけれど。
「走れて守れるのよ」
「絶対に有り得ないわよ」
「そもそもね」
とりわけ野球に詳しい娘が言います。軟式野球部のマネージャーでもあります。
「何で野球選手なのに格闘家の筋肉なのよ」
「ああ、あれやっぱり駄目なの」
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