第六話 アンリエッタ誕生
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で風を切りながら歩くリッシュモン。何もかもが上手くいく・・・そんな時期なんだろう、うらやましい事だ。
(こういう先入観は良くないのは分かるのだが・・・)
どうしても警戒してしまう。オレは無言のままリッシュモン一派が通り過ぎるのを待った。
味方にするにしても敵対するにしても、今のオレには王太子としての権威しかなく権力は持ってないんだ、これではリッシュモンの相手にならない。
情報のソースが噂だけってのも問題がある。優秀な密偵を部下にほしいな。
室内練習場に着くとすでにミランが到着していて、杖を突きながらにっこりと笑ってこちらに近づいてきた。ちなみに杖は魔法の杖としても使用できる。
「ごめん、ミラン待たせたね」
「こんにちは殿下、私も今着たばかりです」
「そうなのか、それじゃ早速始めようか」
「はい殿下」
さっきも言ったけどミランは二年前の襲撃事件で片足を失った。
そのせいか激しい運動をしなくなり以前のような筋肉モリモリマッチョマンが細くなってしまった。
以前、細くなったことや魔法衛士隊を辞めた事などを気に病んでないか聞いてみたら。
『あの体型を維持するのにかなりの額の食費が掛かりまして、隊を辞めたら浮いた食費の分、生活が楽になりましたよ』
と、おどけてみせた。
・・・そんな事言うなよ。
エリートの魔法衛士隊を辞めさせられて平気な筈ないだろ?
まぁ、そういうやり取りがあった訳で、オレとしても何とかミランの力になってやりたいと思ったわけさ。
「・・・殿下、準備はよろしいでしょうか?」
「ああ、ごめん・・・すぐに始めよう」
まず水と風のラインスペルの復習・・・次に土と火のドットスペルの練習と続くのだが。
土の系統はドットスペルを成功させていたが問題は次の火の系統だ。
・・・オレは火の系統が苦手だった。
「殿下、もう一度です」
「分かってる。・・・ウル・カーノ!」
火の系統の基本的な術、『発火』のスペルを唱えたが何の反応もない。
「ウル・カーノ!」
「・・・」
「ウル・カーノ!!」
「もっとイメージを明確に」
・・・分かってるよ、集中、集中。
・・・深呼吸して。
「イメージ、イメージ・・・」
マッチ一本を擦って小さな火を灯すイメージ。
「ウル・カーノ!!」
・・・が、火は点かない。
「・・・殿下、今日はここまでにしておきましょう」
「ああ、分かったよ」
結局、『発火』は失敗だった。イメージは完璧だと思ったんだけど、うまくいかない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ