第七章 神隠し
第三話 狐の嫁入り
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ぼくは風間さんと一緒に作戦室に入った。
頼まれた例の品を渡すために。
中には椅子で寝ている可憐がいた。
白目で寝れる点は誉めておこう。乾燥しないのかな。
可憐の頬を摘まんでいると、足元に毛玉がすり寄ってきた。
ぼくが助けた猫だ。
あれから風間さんに可憐が頭を下げて飼わせてもらっている。
実は持ってきた品とはこの猫の暮らしに必要な・・・まぁ色々。
餌とか?
「とらじ、邪魔だよ。蹴るよ?」
「主人に挨拶、だろう」
「えぇー風間さん、ぼく、主人じゃない。」
「任務を放棄してまで拾ったのはお前だろ」
「拾うんじゃなかった」
そう言いながら、とらじを撫でてやる。
番犬ならぬ番猫になればいい。
可憐は非常食扱いするけど、美味しいのは赤犬だよ?
「如月を起こせ」
風間さんが言うから、力強く頬を引いた。
すると可憐が起きたと同時に拳を飛ばすので避けた。
女子のくせに・・・
「痛い・・・王子様のキスが定番でしょうが・・・」
「キスされたくないくせに」
そう、いまだに元彼に未練タラタラで、はっきりしない。
男の方が未練タラタラになる頭なんだ、て歌川が言ってた。
可憐は女子じゃなかったか。
彼女はぼくらを見て誰か遠くを見てるんだ。
それが不愉快でならない。
「傲慢王子菊地原・・・
まぁいいや。風間さ〜ん!!
オペレータールームしばらく独占します」
「少しは休め」
「もう休みましたから」
正直、無理に笑う可憐が嫌い。
笑う必要ないから、心で笑ってほしいな。これから先で構わないから。
〜〜〜〜
「菊地原来たんだから、俺ら来る意味ないよな〜、緑川」
「よねやん先輩まじめにやりましょうよ〜」
弾バカに言われて俺らは現場組、弾バカはオペレーター組に別れて捜索中。
緑川は見た目は真面目にやってる。
見た目は。
警戒区域だからトリオン体で、槍を持ちながら辺りを見てまわる。
何もない・・・と思うじゃん?
「よねやん先輩、これ!!」
・・・マジか!!
マジであったか。
緑川が持ってきたのは、帽子。
誰の帽子だ?見たことあるような、ないような。
攻撃手の私物ではないな。
「それ、誰のだ?」
「わかんない。こんな帽子、男は被らないよ?」
確かに。なら女で・・・
警戒区域内だからボーダーで・・・
攻撃手にはいなくて・・・
「那須隊の狙撃手じゃん?」
「あぁ〜思い出した。
・・・て、収穫が帽子だけ?
誘拐にありがちな本人が身に付けていた私物って・・・
よねやん先輩、こわくないっすか」
「俺に言うなよ!!
この帽子が形見に・・・
あぁぁぁぁぁぁ!!自分で言うなよ!!
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