Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 15. Take care of Black Cat
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期でね。講習の実施だけで精いっぱいで人手が足りないんだよ。最前線は今謎解きで忙しいってことで、戦線から外れて時間が余ってる攻略組の人たちも多い。そう判断して、信頼できるキミたちにまず声をかけたってことさ」
「ホメたってなんもでねーよ」
そう言いつつ、俺はリーナを横目で見た。コイツは交渉の条件が悪ければ、例え自分が食事中でも横やりを入れてくる。それが黙って大人しくメシ食ってるってことは、ここまでの内容に特にアヤシイところがねえって言ってるのと同じ意味だ。炭鉱のカナリアみてえな扱いだが、気にしたら負けだ。
「もちろんタダでとは言わない。キミたち攻略組を雇う以上、相応の報酬を払おうじゃないか」
「いくらだ」
「期限は28層のギミックエリアが攻略されるまで。日給で一人五万コル」
「……お守の駄賃にしちゃあ、ズイブンとたけーな」
「トッププレイヤーの引率なんだ。これくらいが妥当じゃないか。ギルド内でもこの額に反対する者はいなかったしね。
……さて。この条件で、小規模ギルドの引率、引き受け――」
「受ける」
「……金に目がくらみやがったな、テメエ」
目が¥マークになったリーナを見て、俺は呆れた声を出した。つい最近装備を新調したせいで金欠らしいコイツにとっちゃ、金払いが良くてヒマが潰せるクエストなんてのは、願ったり叶ったりだろう。
「ありがとう、リーナさん。よろしくお願いするよ。一護君、キミはどうだい?」
「……まあ、他にやることもねえしな。いいぜ、受ける」
「良かった、助かるよ。SSTAの平均レベルはせいぜい中の上程度だからね、確実に安全性を確保するならそれなりの人手を割かなければならないんだ。その点、キミたちなら二人でも十分すぎるくらいに安全だ。改めて、礼を言うよ」
「言わなくていいぜ、大げさな」
「ははっ、キミは相変わらずだね……っと失礼、メッセージだ」
ディアベルはそう言って目の前の空間をクリックし、先刻俺がやったような動作で指を振る。こっちからは見えないが、眼前に表示されたメッセージをスクロールしていたディアベルだったが、突如その動きが止まった。軽いため息と共に、水色の髪の下の目が伏せられる。
「ドタキャンか?」
「いや、そうじゃない。そうじゃないんだが……やはり、キリトくんは難しいか」
「当たり前だろ。意外でもなんでもねー。アイツがギルドのお守りなんて依頼、引き受けるわけがねえだろ」
「まあ、そうだよね。ソロだったころの彼ならともかく、今の彼はギルド所属だ。他のギルドの引率を受けてくれるはずは――」
「おい待てよ、オメー今なんつった? キリトがギルド入りだと?」
至極当然って感じの口調で言い放たれた驚愕の事実に、俺は思わず聞き返した。付き合い最悪のアイツがギルドに入
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