Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 15. Take care of Black Cat
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拠点を第一層主住区『はじまりの街』に持つ「SAOで最も人道的なギルド」だ。
ベータ経験者を中心に組織されるこのギルドは、初心者から中級者までを対象にして、狩りをするときの基本から装備の選び方、ステータスビルドやソードスキルについて、個人戦から集団戦まで戦いの中での基本的な立ち回り方まで教えてるそうだ。30人で構成されたギルドの運営は基本的に『資金調達部隊』にローテーションで配属された連中の稼ぎと上級プレイヤー及び「卒業生」からの寄付で成り立っていて、受講プレイヤーから取る『授業料』は安めに設定してあるそうだ。
こんなゲームの中でまで学校作るとかどんだけマジメな連中なんだよ、と混ぜっかえすのは簡単だが、こいつらがいなかったら最初の一ヶ月で死んだプレイヤーの数は倍になっていただろうと言われるほど、その影響力は大きい。初期の頃はご丁寧に給食も作ってたらしい。マジで学校だ。
そんなマジメ連中の一人であるディアベルが待ち合わせに指定してきた11層主住区『タフト』のカフェテラスで俺たちはおち合っていた。
「……んで? なんだよ、力貸してほしいコトってのは。わりーが先に言っとくけど、スキル教えろとか、狩りの基礎の指導しろとかはできねーからな」
「いやいや、そんな大層なことを頼むつもりはないんだ。もっと単純なことだよ」
「単純、か。どっかのギルドの護衛でもすんのか」
無言でスイーツの山を消化するリーナの横で、ディアベル一押しだとかいうガトーショコラを頬張りながら俺が訊くと、紅茶のカップを傾けていたディアベルは大きく頷いた。
「まあ、大雑把に言ってしまえばそんなところかな。オレがキミたちに頼みたいことは、ある小規模ギルドの引率なんだ」
「護衛じゃなくて、引率? ってことは、一応自力で外に出れる連中なんだろ? 小学校じゃあるめえし、ンなことする意味あんのかよ」
「あるんだよ、これが」
カップを置いたディアベルの目が真剣な色に光る。
「訓練ならともかく実戦においては、初心者パーティーの場合、柔軟な対応というものが中々できない。相手モンスターが想定を少しでも外れた動きをしただけで連携が崩れ、そのままやられてしまう事が多いんだ。戦線が崩壊したとき、それを押し戻せるだけの実力をもった保護者のような存在はとても重要だ。
今回キミたちに引率してもらいたいパーティーはまだ講習を受けていないから、戦闘がかなり拙いと思う。挑むのは彼らがいつも狩りをしているという20層のフィールドダンジョン『ひだまりの森』。そこで、彼らについて行って動きを見つつ、危なくなったら加勢する。頼みたい仕事の内容は、そんなところだ」
「それ、別に俺らがやる必要ねーだろ。フツーにオメーらだけで十分じゃねえか?」
「いやー、恥ずかしながら、ウチのギルドは今繁盛
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