Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 15. Take care of Black Cat
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。ヒマつぶしに行ってみる」
「私も行く」
「ああ、リーナも連れてこいって書いてあったからな。そーしてくれ」
つい最近まではあり得なかったような内容の会話を交わしつつ、装備を整えた俺たちは宿を後にした。四月になってもまだ肌寒い晴天の下を歩きながら、俺は深いため息を吐いた。
「……ったく。まさか最前線に敵がほとんどいねえ、なんてことがあるなんてな」
◆
28層にはフィールドダンジョンが一ヶ所しか存在しない。北部にある草原フィールドの奥の窪地『狼ヶ原』ってのがそこだ。リーナ曰く「攻撃力は高いがHP低くそれでいて高経験値、オマケにリスポーン間隔完全固定と、どうぞコイツを狩ってレペルをゴリゴリ上げてくださいとでも言わんばかりの仕様」だそうだ。
おかげでこの狩場は毎日攻略組でごった返し、一回行ってみたときなんか「八時間待ち」とか言われて八秒で引き返した記憶がある。夜なら空いてるみてえなんだが、それだとリーナがおねむで使い物にならねえ。やっぱり、俺たちには効率重視の狩場は合わない。
けど、だからって迷宮区にカチ込みかけても、今回ばっかりは意味がねえ。なにせ、『狼ヶ原』を除く全部のフィールドにはモンスターが全く出現せず、迷宮区への道はまどろっこしいスイッチやらなぞなぞやらがわんさか捩じ込まれていて、マトモに進むことすら出来ないからだ。
そういうのが得意じゃない俺らは早々に攻略からドロップアウトし、今は複数のギルドが連携して、あーでもないこーでもないってやりながら、少しずつ道を切り開いてるって話だ。武装やアイテムが出るってんで、一応モチベは下がっちゃいないらしいが、何せ仕掛けの数がやたらと多く、そこそこの時間は掛かりそうってことだった。心底ウザい設計だ。フィールドモンスターゼロでボスもすげえ弱かった22層や26層よりは、多少マシなのかもしれねえけど。
その一方、トラップ多発の27層やボス攻略の難易度が鬼畜だった25層は敵のレベルや数が凄まじく、おかげで俺らの鍛練が捗りまくった。まあ、そのツケがコレじゃあ流石に嫌になるけどな。
27層のトラップは一通り狩り尽くしたんで、今行ってもザコい敵がチョロチョロとしか出てこねえから行く気がしない。虐殺系のクエストもとうの昔に受け尽くし、武器を初期のヤツに格下げして相対的難易度を上げて挑むのも飽きた。こっちのスペックが落ちたところで、適連中の動きのトロさは変わんねえからな。
何より、上層クラスのプレイヤーが下層を荒らすのはマナー違反らしい。19層辺りで派手に暴れたせいか、俺たちの人相はそれなり以上に広まっちまっていた。最初のころならともかく、今の状態でテキトーなことをやらかせば、確実に素性がバレる。
この前なんか、街の中を歩いてただけで「リー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ