第五話 真夜中の襲撃
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
下、ご無事でしたか」
「おかげ様で。それよりもトイレの近くでミランがまだ戦っているはずだ」
「はっ、ミランでしたら、先ほど重症のところを発見、治療を施しているところかと」
「生きてるんだね」
「はい、命には別状は無いかと思われます」
「よかった、彼がいなかったら今の僕はなかったよ」
「殿下、陛下が心配しておられます。こちらへどうぞ」
「うん」
こうして悪夢のような夜は終わりを告げた。
その後、父さんに心配され母さんに大いに泣きつかれた、心配させてごめんなさい。
それと襲ってきた黒犬だが数はそれほど多く無くて襲われたのはトイレ付近を警備していた数人とオレ達だけだったそうだ。
うすうす感ずいてはいたが数日前に見た黒い影って多分こいつ等のことだ、あの時からずっと付いて来ていて、それで昨夜護衛の数が少ないのと目をつけていた子供が『群れ』を離れた、このチャンスを逃すことは無い・・・って事が昨夜の真相かもな。
翌早朝、使い魔を通じて国王一家襲撃を知った討伐隊は救援に向かうべく野営を中止して夜間行軍を決行、一人の脱落者もなく国王一家が滞在する屋敷に到着して、がっちりと国王一家をガードしている。
国王一家襲撃で予定されていたスケジュールは全部キャンセルになり、トリスタニアから来た竜籠に乗って帰ることになった。その後、近くの諸侯が集まって大規模な山狩りが行われることになっている。
「マクシミリアン」
「何? 父上」
帰りの竜籠内で父さんが話しかけてきた。
「ヴァリエール公爵家のカトレアの事だが」
「カトレアが何?」
「病人を婚約者にしてしまって、お前には申し訳なく思っている」
「病人といっても治らない訳じゃ無いんでしょ?」
「うん、その事なんだがな。お前が十二歳の誕生日までにカトレアが治らなければ、この婚約は無かった事になっているんだ」
ああ、ここで話しちゃうんだ。
「婚約が無くなれば次はどうなるの?」
「姉のエレオノールはすでに他の婚約者がいるからな、今のところ候補はいないが・・・」
「父上、そんな先の事で頭を悩ませることも無いですし、カトレアだって病気が治らないわけではないでしょう?」
「フム・・・それもそうだな」
他に候補がいなければ次期トリステイン王妃のイスをめぐって様々な暗闘が繰り広げられる事になるんだろう。とはいえ当分先の話だ。
「子供のお前に諭されるとはな、マクシミリアン」
「『ものごとは、なるようになる』・・・と、王立図書館の本にも書いてありましたしね、父上」
「本ばかり読むのもよいが、頭でっかちになってもらっては困るぞ」
「・・・たまには外で遊ぶようにします」
「フフフ・・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ