第五話 真夜中の襲撃
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を上げながら立ち上がり、トイレの壁に覆いかぶさった無数の犬ごと自らを叩き付けた。
「ミラン!」
壁に硬化を掛けてあったのかを突き破りこそしなかったが大きくひびが入った。ミランに覆いかぶさっていた犬たちは叩きつけられた衝撃でほとんどが死ぬか地面でノビていた。
「殿下、屋外は危険そうですから屋敷内に避難しましょう」
言い終わるや足元でノビている黒犬の首を思い切り踏みつけると乾いた音が辺りに広がった。
なんとか立ち直ろうと振る舞い、ようやく『分かった』と声を絞り出すことしか出来なかった。
ミランは落とした軍杖を拾おうと手を伸ばすと、その隙を突いてノビていた黒犬たちが次々に息を吹き返し、腕や肩、両足に食らい付いて転倒させた。
「うっ!? く、殿下、早くお逃げください!」」
「う・・・」
ミランを見捨てて逃げるのか?
でも、オレだって水と風のラインだ上手くやれば撃退できるかも。
「ミラン、僕もたたか・・・」
「馬鹿なこと言わないでください!!」
ミランに一喝される。
「犬どもが私に食らいついている間に早く!」
「で、でも!」
「早く!!」
凄まじい眼力をぶつけられる。
「わ、分かった、分かったよミラン。すぐに助けを呼んでくるから!」
そう言ってオレは屋敷内へと駆け出した。
人のいる場所を探しながら廊下を走る。
突然の襲撃と死の恐怖で少しパニック状態になっていたが徐々に冷静になっていく。
「あ、フライで飛んだほうが速いだろ」
うう、なんという大ポカを。
すかさずフライのスペルを唱えようとすると、後ろから無数の床を蹴る音が聞こえる、風メイジでもある為か音や気配に敏感なのだ。
「イル・フル・デラ・ソル・ウィンデ」
フライを唱え空中を走った。しかし速度はそれほど速くない、地面を走るよりまし・・・な程度であるが。
(これじゃ追いつかれるな)
後ろから聞こえる無数の足音は少しづつ近づいてくる。
(何かいい作戦は無いものか)
ちなみに屋敷内は異変を察知したのか、あちこちで笛や鐘の音が聞こえる。
(後ろのやつらをやり過ごせば助けを呼べる)
ミランは助かるかもしれない。そう信じて鐘の鳴る方向へ飛び続けるとそこは突き当たり・・・つまりは行き止まりだった。
「へ?」
着地すると思わず体中の力が抜けた。
「なな、何で? 冗談だろ?」
呆然としながらも鐘の鳴る方を見るとそこには鐘を打ち鳴らすガーゴイル人形の姿があるだけだった。
「ちくしょう、ちくしょう。どうしてこうも・・・ついてないんだ」
半泣きになりながらも辺りを見渡す。外へ脱出するための窓も身を隠すための場所す
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