アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 01
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ないで(もちろんお礼を言ってから)サンドイッチを取り出す。
その際にちらりと見ると、中にはまだ大きめのサンドイッチが1個と、やや小振りなサンドイッチが1個残っていた。 確かに1人用とすれば多いけど、キリトと分けるならちょうど良い量だ。
「頂きます」
微妙に罪悪感を覚えつつも口に運ぶ。
「うわ、美味しい……」
ついついこぼれ出た感想は、そんな単純なものだった。
とても懐かしい味を噛み締めつつアスナさんを見ると、まだ気落ちはしているものの少しだけ嬉しそうに微笑んでいた。
現実では知らなかった感覚だけど、料理人にとって単純な『美味しい』と言う賛辞は何よりも嬉しかったりするのだ。 何しろその一言のためだけに作っているのだから。
食べさせたかった相手ではないとは言え、それでもやっぱり嬉しいらしい。
「んー、この味はマヨネーズと醤油……いやでも、そんな調味料、SAOにあったっけ?」
「ありませんよ。 なので自作しました」
「自作?」
「はい。 アインクラッドで手に入る全ての調味料が味覚再生エンジンに与えるパラメーターを解析して、自分で配合したんです」
「うわー、ずいぶんと気が遠くなる作業をしたんだね」
「それ、フォラスくんにだけは言われたくないと思うですよ」
「あ、こらっ」
突然会話に割り込んできたアマリが、僕の手からアスナさん謹製のサンドイッチを強奪する。 取り返そうと手を伸ばしたけど、時すでに遅く、はしたなく開けられた大口に全てが飲み込まれてしまった。
「おおー、ホントに美味しいです。 懐かしい感じの味ですねー」
「ふふ、ありがと。 ところでアマリ。 フォラスさんにだけはってどう言うことなの?」
「フォラスくんも似たようなことをやってるからですよー。 あっちは調合ですけど、毎日色々やってるですよ」
「調合スキルも持ってるの??」
ペラペラとバラされた僕の個人情報に、アスナさんは目を丸くして驚いた。
別に調合スキル自体は珍しくない。 回復ポーションだったり解毒ポーションだったり、はたまた各種毒類の製作に用いる調合スキルは割とポピュラーなスキルだ。
実を言うと料理スキルよりも先に習得していて、すでにコンプリートして久しい。
僕がやっている調合の研究は単純で、様々な素材を掛け合わせることでできるアイテムの効果を数値化してまとめ、それを基により強力な薬品を作ろうとしているのだ。 実際、僕が作る薬品群は店売りのそれに比べて効果が劇的に高く、市場に出回ればかなりの高額が付くだろう。
もっとも、商売が目的ではないので市場に出回ることはまずないので、僕が薬剤師(調合スキル持ちのプレイヤーをこう呼ぶ)であることはあまり知られていない。
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