Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 14. The dianthus and the deathberry
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してくる。俺たちもそれに負けじと、落下予想地点から離れつつトドメのラッシュに参加すべく身構える。
そして、ボスが膝を付き、上半身がゆっくりと傾き始めた――その時、頭上にオレンジの光が見えた。悪寒が俺を襲う。
「やめろ! 全員コイツから離れるんだ!!」
そう叫び、俺は思いっきりその場から飛び退る。一瞬固まったブラボー小隊の連中も、すぐにそれに従い、各々待機場所から退避した。
直後、頭上にあったオレンジの光が地面に突き立ち、ボスの身体を囲った。
「な、なんや! あのけったいなバリアは!!」
「うるせえ! 俺に訊くんじゃねえよクソトゲ!!」
「あん!? アンタには訊いてへんわボケぇ!! 黙っとれチンピラ!!」
「んだとテメエ!!」
「そこのバカ二人、喧嘩しない。それより……ボスの様子がおかしい」
面突きあわせてにらみ合っていた俺等だったが、冷静なリーナの言葉に我に返り正面へと向き直る。
そこには、自分の面に手をかける、大虚の姿。
虚が仮面を剥ぐ。その行為の意味を俺が思い出したのと同時に、咆哮と共にボスの白い面が引き剥がされ、砕け散った。
途端に巻き起こる旋風。視界を潰され、風圧でたたらを踏む俺たち。
「全隊、一旦後退!! 体勢を立て直す!!」
ディアベルから即座に後退命令が飛び、俺を含む全員がボスから離れた。
一番ボスの近くにいた俺とリーナが本隊と合流し、ボスの方へと向き直った瞬間、暴風が止み、砂塵の中で大虚が歪に姿を変えていき、一体の巨人が出来てきた。
「何……だと……!?」
露わになったその姿を見て、俺は絶句した。
そこにあったのは、毛皮に覆われた屈強な上半身、鹿を思わせる大きな一対の角に長い蛇の尾。
まだ完成してないが、見紛うハズもない。あれは――『アヨン』だ。
なんで、アレがギリアンから出てくる? アイツは確か、女破面三人の腕から作られるんじゃなかったのか? キルゲとかいう滅却師と戦ったときは、確かそうだったハズだ。それが、なんでこんな出方をするんだよ!?
それにおかしいことがもう一つ。コイツがSAOの中にいることだ。
死神くらいならまだわかる。現世の人間の中には、死神について知ってるヤツも何人かいる。SAOの開発陣の中にそんな奴がいた確率は、低いだろうがゼロじゃない。
でも、アヨンは違う。
聞いた話じゃ、コイツが衆目にさらされたのは、俺が目にした一回と、愛染が現世に攻め入った時の一回、合わせてたったの二回だけだ。だから、その存在を目にしたのは、隊長格と井上、チャド、浦原さんだけのはず。可能性を広げても、破面の軍勢の連中と親父、夜一さんまでだ。そんな知名度の低い化け物の姿を完全に再現できるわけがない。
もし
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