Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 13. The Wraith
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とになった俺たちブラボー小隊は、四人で固まって最終チェックをやっていた。
「確認するぞ。
まず、パワーに長けたエギルが斧でボスのスタンプを弾く。次に俺がスイッチで入り、さらにその後一護、リーナが続く。その繰り返しだ。レーザーがきたら最初に離脱したエギルの警告に従ってそれぞれで回避する。継戦時間は一分で見積もり、キリがいいところでチャーリー小隊とスイッチ、後退する」
キリトの声に、全員が頷く。昨日はいなかったエギルは、やっぱりウチの隊に配属されることになった。バカでかい大斧を担ぎ、禿頭の下の目を鋭く光らせる姿は正に重戦士って感じだ。最も、鎧の一つも着ちゃいないが。
「皆、準備はいいか?」
一層の時の小盾ではなく、足元までカバーできるカイトシールドと片手剣を装備したディアベルが、ボス部屋の前に立って声を張り上げた。その正面には第一陣のフォワードのトゲ頭とその取り巻き連中が陣取っている。
「俺から言うことは、いつも通りただ一つ――勝とうぜ!」
その言葉に、俺たち三小隊十四人の勇ましい返事が返る。気合の入った顔つきでディアベルは首肯するとその場で振り向き、大きな扉をゆっくりと押し開けた。耳障りな金属音をたてて開いたボスの根城に、全員が隊伍を組んでゆっくりと侵入する。
全員が入りきると同時に部屋の両脇に紅い炎が灯り、内部を煌々と照らした。殺風景な石造りの大部屋に、俺たちの衣擦れや鎧の擦れる音が響く。
そして、俺たちが身構える目の前で、虚空に亀裂が走った。
ひび割れた何もない空間。その先にある真っ黒い暗闇から、ガイコツを思わせる真っ白い巨きな手が突きだし、メキメキと空間を引き裂いていく。
その奥から覗くのは、尖がった鼻と毒々しい赤い色に光る両目が特徴の、真っ白い面。首の辺りに付き出した、無数の棘。その下に続くひょろ長い胴は、黒い襤褸布に包まれている。昔見たなんかの映画に出てきたような、幽霊を思わせる白黒の不気味な出で立ち。
「チッ、フザけやがって……コッチでもこいつと戦えってのかよ」
自分の嫌な予感が当たってしまったことに、思わず悪態が漏れる。隣にいるリーナがチラリとこっちを見たがすぐに視線を正面に戻した。
腹の底、いや魂の奥にまで響きそうな咆哮と共に姿を現した19層フロアボス『The Deadsoul』。忌々しい大虚の姿に酷似したそいつは、俺たちを見て嗤ったように見えた。
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