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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第四三話 帰想
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っていた。そう気づいてしまったときの彼の苦しみがどれ程のモノか―――分かるはずもない無いのだ。
「なぜ、そこで斯衛軍に入ったのですか。他にも道は……」
あったはずだ、そう言いかけた。だが忠亮は静かに首を振り否定する。
「例え間違った願いだとしても、それは本当に無価値なのか。俺が師匠から受け継いだ技術は、本当に無価値な時代遅れの骨董品なのか。
それだけが知りたかった、そして其れを知るには生半可じゃない修羅場が必要だ。諦めが悪かったのさ。」
自嘲の笑みが、どこか自分を冷静に見つめる冷めた表情へ……そこから更に狂気を含んだ笑みへと変わる。
―――彼はきっと武に入れ込み過ぎたのだ。武の鬼道、その道は修羅道だ。
武術の継承者としては、恐らく彼のような生き方こそが本当の生き方なのだろう。
それに比べれば自分が継いだ篁示現流何ぞお遊びに等しい、嗜みの一つでしかない。
「仮に死んだとしても、其処には【人類の敵】って分かりやすい悪と戦えたっていう自己満足が残る、生き残れば俺の願いと受け継いだ技術は無価値じゃなかったと証明される。
いや、それどころか俺の剣技は命がけの人間を超えた存在との闘いで更に高みへと至れる―――そう考えたのさ。」
狂喜、鬼の笑みを張り付けたまま彼が言う。危うい、放っておけば彼がこのまま何処か遠くに行ってしまいそうにさえ感じる。
「―――――っ」
「唯依!?」
忠亮の驚きの声、目尻からぽろぽろと熱い滴が止め止めなく零れてゆく。
想像にしか過ぎないけれど、分かってしまったから―――彼の許嫁がなぜ、彼の後を追ったのか。
きっと、今の自分と同じ気持ちだったのだろう。
愛する人の苦悩、それを自分ではそれを癒すことが出来ない無力感、そして彼がどこか遠くに行ってしまい置いてけぼりにされる焦燥感。
こんな気持ちにされて大人しくいられるわけがない。
「っ―――」
堪えきれず、目の前の良人の胸元に飛び込んだ。忠亮はそれを受け止めた。
「ど、急にどうした……?」
珍しく狼狽えた声が耳朶に届く。だが、その問に自分は答えることが全くできない。
口元から零れそうな嗚咽をかみ殺すので精一杯だったから。
「………ごめんな。」
何を思ったのか、忠亮はそんな謝罪の言葉を柔らかく口にすると残った左腕で唯依を抱きしめる。
胸板に顔を押し付けたまま左右に首を振る。その厚い胸板の奥からとくんとくんと彼の心臓の拍動を感じる。
この人は、人よりも少しだけ……真剣過ぎたのだ。
人より少しだけ真剣に夢見て、人より少しだけ真剣に努力して、人より少しだけ真剣にその意味について考えた―――そのために、修羅道に足を踏み入れてしまった。
そして
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