暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
54 埋められていくピース
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時計よりズレるのは重症だ」
「機械式…」

アイリスは知識の上ではあっても、実際の機械式時計は昨日、ハートレスがしているのを見たのが初めてだ。
しかしそれでもクォーツの時計が機械式に比べて正確さが劣るというのは異常なことだとは分かった。
彩斗の方を見ると、アテッサを眺めて少し悲しそうな顔をした。
薄型、軽量、電池交換不要、ワールドタイム、クロノグラフ、デイデイト、そして限定カラーという条件で気に入っていた。
製品そのものに問題があるわけではなく、自分の使い方が悪かったと分かっていても少し凹んでしまう。
しかもまだ買ってから4ヶ月程度しか経っていない。

「時計の修理?どこで?」
「買ったところ。電気街の量販店」
「あぁ…じゃあ、これも一緒に持って行ってもらえるかしら?」
「これは…オーバーホール?」
「ええ。もう10年近くオーバーホールしてないの」

ハートレスは自身が着けていたコンステレーションを彩斗の前に置く。
ホワイトマザーオブパールのダイヤルに爪状の特徴的なパーツ、そして彩斗が今着けているシーマスター・プロダイバーズと同じく高い耐久性・安定性・高い精度を持つコーアクシャルエスケープメントの構造を持つムーブメントを搭載している。

「定期点検?」
「いいえ。日によるけど、1日で10分前後ズレるっていう調子だから」
「君が10年も同じものを使ってるなんて少し驚いたな。思い出の品ってやつ?って聞いても答えないよね」
「別に捨てる理由も無いし。使えるなら使っていてもいいでしょう?」
「…オーバーホールだけ?研磨は?」
「いいわ。別に傷も無いし」
「パーツ代が別途掛かる時の連絡先は?」
「私の番号とここの住所でいいわ」
「支払いは?」
「モノと引換でいいわ」
「分かった」

彩斗はコンステレーションを手にとって少し振り、耳元に近づけて、時計の音を聞く。
聞こえるのはローターが回る音とゼンマイから伝わった力がガンギ車を動かしている音、クォーツの時計では味わえない独特の音楽だ。
確かに彩斗が使うシーマスターよりテンプの動きが速いような感覚がある。
納得しながら、何度か頷くように首を小さく振る。
そんな時、ハートレスは別の話題を切り出した。
これは彩斗も気になっていたことでもあった。

「そういえば、高垣美緒、逃げ出したみたいね」
「え...!?」
「逃げられちゃったんですか!?」

「...やっぱり」

ハートレスの発言にアイリスとメリーは驚くものの、彩斗は特に驚く素振りを見せなかった。

「......サイトくんは分かっていたの?」
「薄々はね。今のWAXAの体制はボロボロだし、ValkyrieはValkyrieで口を封じようとするはずだと予想はしていたけど」
「高垣
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