暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
54 埋められていくピース
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らないように注意しながら食べ始めた。

「あっ、兄さん。良かったら、私の海老1匹食べます?」
「うん、ありがとう」

メリーは箸で彩斗のイクラの上に乗せ、彩斗はそれを箸で摘もうとする。
だがその様子にメリーは待ったをかけた。

「兄さん、箸の持ち方、まだ直ってませんね?」
「うん、でももういいんだ。箸が持てなくても立派に生きてる人間はたくさんいる」
「もう…何年も同じこと言って、直さないんですよ。どう思います、アイリスさん?」
「ちゃんと直さないと…ニホンでの食事は箸を使うことが多いし」
「えっ…えぇ…」

彩斗はアイリスとメリーに挟まれ、箸の持ち方を教えられる。
現状の彩斗の持ち方では2本の箸がX字状にクロスしている状態だ。
それを正しい形に強制する。
頭では分かっているが、長年直す気も無く、スプーンとフォークで食べられるものばかり食べてきたせいでこの持ち方に慣れているため、そう簡単には直らない。

「あぁ!もう!」

うまく掴めず苛立って、いつも通りのX字にして摘み上げた。
しかし勢い余って海老が宙を舞った。

「あっ…」
「あら?くれるの?ありがとう」

海老が着地したのは、ハートレスの丼の上だった。
取り返そうと箸を伸ばす彩斗に対し、ハートレスはさっきのお返しとでも言わんばかりに、幸せそうな顔をしてツルンと海老を美味しそうに食べてしまう。

「スプーン使う?」
「…最初から出しなよ」

ハートレスは嫌味ったらしい隠していたスプーンを彩斗の前に出した。
メリーとアイリスは苦笑いし、ハートレスは今までに見せたことが無いくらいの勝ち誇ったような笑顔で、当の彩斗は今までに見せたことが無いくらい悔しそうな顔を浮かべた。
しかしスプーンという武器を得た彩斗は一番食べ遅れていたが、すぐに追いつき、ものの数分で朝食を終える。

「ごちそうさま」
「サイトくんって器用そうに見えて、結構不器用なんだ」
「器用なのは機械とか折り紙とか裁縫とか手芸系だけなんですよ。箸と他人には本当に不器用で」
「箸は使えなくても困らなかったし、人間って相手するのが面倒だ。嘘はつくし、平気で酷いことを言うし」
「皆が皆、そういうわけでもないよ」
「それは分かってるんだけど。この街では中々出会えない」
「そういえば今日、街に出るんですよね?」
「うん、少し買い物をして...」

彩斗は食べかけのチョコレートと、昨日と同じ位置にある時計を手に取る。

「あとこれを修理できるかどうか診てもらう」
「そっか、昨日壊れちゃったんだ」
「ニホン製の時計はある程度の耐磁性能はあるけど長時間妨害電波の中にいたからね。クォーツの時計なら磁気から離して脱磁すれば、治る場合も多いんだけど。昨日よりズレてる。機械式の
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