暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
54 埋められていくピース
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気街よりはヤシブタウンにでもいそうな外見をしている。
現にここに入ろうとした段階でそれを見ていた女子高生風の少女たちも意外そうな顔をして通り過ぎていった。

何者(ナニモン)だ?冷やかしなら帰れ」
「エジソンだよ。5年後には発明王になる予定だ、よろしく」

シドウは中古のパソコンとパーツを売っている70手前くらいの外見で人間を決めつけそうなタイプの老人を軽くあしらうと、奥に進んでいく。

「小汚ないのは今も昔も同じか…うっ…」

老朽化による特有のカビ臭い匂いと、ジャンクパーツや中古のパソコンから漂う前の持ち主の生活臭が見事に混じりあい、シドウの鼻を突いた。
できることなら早く外に出たい。
シドウの歩調が早まっていく。
階段を早足で3階まで上り、目的の場所を探した。

「…あった」

一応、露店というのか海外製のパソコンやスマートフォン、タブレット、そしてそれに使われるパーツ類は陳列されている。
自作パソコンなども手軽に作れる現代ではあっても、スマートフォンやトランサーといったモバイル機器用のCPUや回路というのを扱っているというのはなかなかに珍しい。
しかし肝心の店員がいない。
まるで「ご自由にどうぞ」とでも言いたげな状況だ。
一応、『クローバー電子商会』と書かれた看板と、「開店中ダヨ」と若干マヌケに見える札が置いてある。
しかも「開店」という字が「回転」と書いたのを訂正してあるという、どこまで商売をちゃんとやる気があるのか分からない仕様になっている。

「……ハァ」

シドウはため息をつきながら、スタッフオンリーの扉の奥に入っていった。

「ちょっとぉ…ここ関係者意外立ち入り禁止…あれぇ?見覚えのある顔」
「こんなところに巣を張ってるとはな、”シャムロック”」

そこには畳が敷き詰められたスペースにゴロンと横になった女性がいた。
ブラウンの長髪にヘアバンド、淡褐色の目を持つ外国人のようだが、肌は黄色(おうしょく)だが色白、顔は日本人に近い顔立ちの女性で、グリーンのチノパンに黒のタンクトップ、その上にグレーのリネンシャツを羽織った状態で入ってきたシドウを見上げていた。

「その名前で呼ぶのは、もうやめたげてよぉ」
「じゃあ、なんて呼んだらいい?」
「一応、住民票上は妃緑(きみどり)ミツバってことにしてるから、それでヨロ」
「少女漫画の作家みたいな名前だな」
「結構、前に観たアニメのキャラクターにいて気に入った」
「…さっきから日本語変だぞ?前のカタコトの方がまだマシだった」
「…やっぱり変?」
「変」
「……」
「電気街に毒されたな」

ミツバと名乗った女性は気だるそうにカーテンを開けた。
すると薄暗かった部屋に太陽の光が差し込み、よく見えなかった部屋の内装が明ら
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