精神の奥底
54 埋められていくピース
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「...すごいね」
「そんな...私のことはいいのに...」
「いいさ。僕らの都合で君を無理やり着替えさせようとしてるんだから。好きなものを選ぶといいよ。じゃあ、行こう」
彩斗はそう言って、メリーとアイリスを連れて家を出た。
やはり真夏を思わせる気温と11月直前の低い位置からの太陽の直射日光が襲い掛かってくる。
アイリスはともかく、彩斗とメリーは日常的にこの外を出歩かないため、かなり辛く感じる。
彩斗はメリーとアイリスに気遣うというよりは、自らの身の危険を感じてすぐ近くのメトロの出入り口から地下に逃げ込んだ。
スバルは電車を乗り継ぎ、病院までやってきた。
初めての一人旅、そして初めてやってきた街ではあるが、さすがに先進都市だ。
ネットが使えずに時刻表を調べることすらもままならない状況であっても、少し上を向いて歩くだけで案内板がゴマンとあり、それを見て歩くだけでここまでたどり着くことができた。
『ん〜なんかしょっぱい臭いがしやがる』
「潮風だよ...海がすぐそこだからね」
『なんでこんなところに来たんだよ?向こうがこっちに来りゃいいだろうが』
「さすがに退院したての人にそれはマズイよ...」
正式名称はデンサン中央病院、街の地図を見る限りだとどう見てもデンサンシティの中央には位置しておらず、どちらかといえば南東の臨海部に位置している。
どうやら数年前まであった旧病院は街の中心にあったようで、その名前との違和感が度々住民に指摘されるらしい。
そのため多くの人には「湾岸病院」と呼ばれており、街の大半の人にはそう言えば通じる。
「でも...どう考えても中央ではないよね」
スバルは「デンサン中央病院」と書かれた立て札と地図の位置を見比べながら、苦笑いを浮かべる。
そして一度、深呼吸をすると自動ドアを通って病院に入った。
「えっと...」
「スバルくん!こっちこっち!!」
「あっ、いた」
出入り口のところに広がる大量の椅子が設置された待合室の上を見上げる。
そこにはガーリーなサングラスとベレー帽をかぶって手を降っている少女がいた。
スバルは階段を登って2階の食堂へと向かう。
そしてそこで、彼女と再会した。
「久しぶりだね、ミソラちゃん」
「久しぶり!スバルくん!」
今売出し中の現役中学生アイドル歌手の響ミソラだ。
2人が合うのは数ヶ月ぶりだった。
最後に会ったのは撮影で偶然コダマタウンにやってきてスバルの家に寄った時だ。
「大丈夫だった?」
「うん、むしろよく眠れたよ!」
「あっ...そう」
ミソラは元気だとアピールするように腕を振ってみせる。
「そ
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