精神の奥底
54 埋められていくピース
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ラン島産のマグメタルが入ってるわ。これを持っていれば、ナイトメア・テイピアの精神干渉波の影響を受けずに済む」
「マグメタル?そんなありふれたもので防げるのかい?」
「このバチあたり」
彩斗はハートレスから受け取った瞬間にお守りを開けて中身を取り出した。
黒い水晶のような石に雷の閃光のようなものが映って見える美しい石だ。
メリーとアイリスも受け取りながら、中身の感触を味わう。
「でも兄さんもマグメタルが使われたトランサーを持っていたのに、プライムタウンでは防げなかったじゃないですか?」
「オラン島産のものは組成が少し違うらしいわ。もう採掘されていないし、ここ10年そこらの間に生産されたデバイスには使われていないわ」
「それは随分と年代物を持っていたものだね」
「私の分もあるの?」
「ナイトメア・テイピアが発するのと同じ原理のココロネットワークの技術ではネットナビであっても影響を受けるわ。持っておいて損はないでしょう?」
「...そう、ありがとう」
アイリスは少し人間らしい扱いを受けたようで嬉しかった。
その様子を見て、美緒の別人格への敵意がむき出しだった彩斗は少し笑顔を取り戻す。
そしてメリーを連れて、部屋に着替えに戻った。
「じゃあ、アイリスちゃん。すぐ着替えてくるから」
「少し待っててくださいね!」
「うん」
アイリスはリビングから出て行く2人を見送りながら、テーブルの上の丼を片付ける。
正直なところ、今から街に出てショッピングという人間らしいことができるということに心が踊っていた。
少し不安はあるが、彩斗と一緒というのが嬉しかった。
まだ成長途中で純粋さと優しさを兼ね備えつつも歳相応の冒険心と危なっかしさを持つ、まるで手の掛かる弟ができたような気分だったのだ。
「アイリス」
「はい?」
「一応、これを渡しておくわ」
ハートレスはアイリスにマゼンタカラーのAQUOS miniを渡した。
アイリスは本来自分のようなネットナビが入るべき携帯端末を手に持っているという違和感を覚えながら、カメラを起動させてみる。
「何かあったら待受にあるエマージェンシーアイコンをタップしなさい」
「するとどうなるの?」
「救難信号が発信されるのと同時に私の端末にコールされるわ」
「インターネット回線がダウンしているのに?」
「電話回線は今まで通り使えるし、この端末のSIMカードは特殊なものでネット回線に頼らずに単体で衛星に救難信号を送れるわ。ディーラーのどれかの衛星に届けば、すぐに私のところに居場所が伝わる」
「分かったわ。使うことが無ければいいけど...」
「それが一番いいことなんでしょうけどね」
「おまたせ、準備できたよ」
彩斗とメリーが着替えを済ませて戻ってきた。
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