精神の奥底
54 埋められていくピース
[12/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「じゃあ、この人格が10年経った今、10年分の成長をしているとすれば...」
ようやく彩斗は驚いた顔を見せた。
ただの別人格ならともかく、主人格の美緒の記憶も持っているというのだ。
もし10年間、人格が成長しているとすれば、今は13歳から15歳、ミヤや自分と同じ程度の年齢ということになる。
自分と同じ程度の年齢ならばよく分かる。
これくらいの年齢になれば、中途半端に大人に近い分、悪知恵が働きやすい。
それに美緒の記憶を持っていているということは、普段の美緒の立ち居振る舞いを学習しており、その気になれば本当の意味で美緒になりすますこともできる。
もちろん美緒として悪事を行うことも。
「本人になりすまして、高垣美緒としてのポストを利用してValkyrieに加担することができる...」
「そういうことね。どうやらValkyrieに協力していたのは、このもう片方の人格の方っていうことらしいわ。それに面白いことに、この人格、電波変換で表に出てくるらしいわ」
「は?」
「安食同様にユナイトカードを使用すると彼女の場合、“人格が電波変換した状態で肉体から分離”するらしいわ。恐らく電波変換している間は自分自身の自由な肉体も持っていられるということでしょうね」
「...それよりミヤに双子の姉妹が...?」
「そんな人間はいないわ。正確には“いた”みたいだけど」
「いた?」
「データを見る限り、もとは双子だったけど、片方が流産してる。帝王切開中に起こった停電のせいらしく、原因は変電所のトラブル」
「その時、流産したミヤの姉妹を名乗っているっていうのか...」
「あなたが聞いたっていう母親からの暴力は姉妹喧嘩だったっていうわけね」
「でもそんな相手が逃げ出した上、電波変換までできるなんて...もしサイトくんの前に現れたりしたら」
アイリスは彩斗がこれ以上、身も心も削らなくてはならない事態は避けたかった。
彩斗の才能とスターダストの性能を以ってすれば、大概の相手を圧倒することができるだろう。
しかし昨日のこともある。
彩斗は意識の上では否定していても、ダメージや恐怖、そして死すらも恐れていないようなフシがあるのだ。
彩斗が死んでしまうのではないか、無事でも繊細な彩斗の心が更に荒んでしまうのではないかとアイリスは不安な顔を浮かべた。
しかし彩斗はそれと裏腹にまるで殺し屋のように生気が感じられない表情で敵意を露わにした。
「その時は受けて立つ。そして倒すさ」
そう告げて立ち上がり、自分の部屋に着替えに戻ろうとした。
「着替えてくる」
「あぁ、ちょっと待ちなさい」
「なんだい?」
「これを持ってなさい」
「...お守り?とうとう神頼みか?」
「電波が見えない今のあなたじゃ分からないか...この中にはオ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ