第十九話 夏ですその六
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「女同士なのよ」
「つまり。男の子がいないから」
これ、凄く重要です。男の子の目って意識されますから。
「実はこのスカートだってゴミの中にあるのかもよ、普段は」
「私達だってね。結構あれかもよ」
「えっ、じゃあ」
「だから。ひょっとしたらよ」
実際わかったものじゃないですから。男の子の北寮もかなりのものらしいですけれど東寮だって。男の子が見たら目を丸くさせてしまう世界なのは間違いないです。
「驚くかもね」
「一応部屋はあれなのよね」
私に対して尋ねてきました。
「障子で畳よね」
「ええ、そうよ」
私は彼女のその問いに答えました。
「天理教の場所だからね」
「そうよね。じゃあやっぱりそうなるわよね」
彼女もそれを聞いて納得した顔になります。腕を組んでうんうん、と頷きます。
「それだとわかるわ」
「詰所にいる感じかしら」
「そうよね」
私達の間でもそう話し合います。
「だから結構慣れているものはあるわよね」
「生活は全然違うけれど」
「ああ、やっぱりそれは違うの」
「ええ、やっぱりね」
私が彼女に答えました。
「違うわよ。あとガードもかなり厳重よ」
「それわかるわ。だって東寮の前って男の人迂闊に通れないし」
「しょっちゅう見る人は通報しちゃうような娘はいるわね」
「まあ誰とは言わないけれど」
年頃の女の子ですから神経質になっているんです。外観は何か校舎みたいですけれど警護が厳重だったりします。荒れている場所の中学校みたいな。
「女の子ばかりだから」
「変な人がうろうろする可能性もあるから」
「中身あまりいものじゃないのにね」
「そうよね」
「御飯はあれよね」
彼女は今度は御飯について尋ねてきました。
「いつも私達がお昼に食べているあれの感じよね」
「ええ、そうよ」
「成程ね」
私の話を聞いてまた頷きます。天理高校では学生食堂や購買コーナーもありますけれどメインは給食なんです。お弁当形式で出されてそれを食べます。揚げものが多いです。
「あれ、昔凄くまずかったらしいわ」
「そんなに?詰所じゃあまり」
「だから昔なのよ」
私とは別の娘がそう説明します。
「私が生まれる前位らしいけれど」
「ふうん、そうなの」
「味のことは文句言ったら駄目だけれどね」
「それはね」
これは皆で頷きます。私もお父さんやお母さんにはよく言われました。昔陸上自衛隊に言っていた人はおぢばの御飯は凄く美味しいって言って周りをびっくりさせたそうですけれど。
「けれど夏は」
「食欲なくなるのよね」
「本当、夏バテするわ」
揚げものが苦手になって。困ります。
「そのわりに東寮の娘って太るって言われるし」
「実際そうじゃないかしら」
何か自覚するものがそこにあります。
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