第十九話 夏ですその四
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「覚えるのも一苦労なのよね」
「特にておどり」
これが難しいんです。よろづよ八首と十二下りあります。覚えるだけでもかなりかかりました。
「あれが難しいわよね」
「けれどそれはテストには出ないわよ」
「そうなの」
「だからそれは安心して」
「よかった」
どうもそれも勉強していたみたいです。あれを勉強するだけでもかなり大変ですけれど。
「時々教会に行って踊っていたのよ」
「そうだったの」
「会長さん達に教えてもらってね」
真面目です。そこまで勉強しているなんて。私なんてとてもそこまでは。
「勉強していたんだけれど」
「まあ一応教義の時間にテストしてるから」
「ああ、あれね」
言われて思い出したみたいです。
「あれだけなの」
「そう、あれだけ」
「けれど。覚えてる?」
寮生の娘の一人が彼女に言いました。
「覚えてるって?」
「ておどりって難しいでしょ」
彼女も言います。
「それを覚えるのって。尋常じゃないわよ」
「そうなのよね。学校の授業だけじゃとても」
「無理でしょ」
「とてもじゃないけれど覚えられないわ」
私も物心ついた時から時間があれば踊ってででしたから。とにかく覚えるのに時間がかかります。しかも踊りですから向き不向きも多少関係します。
「あれだけじゃ」
「まだ教典とかの方が覚えやすいわよね」
「そうよね。身体が覚えてくれないと駄目だから」
「何かそう言うとあれよね」
私は身体で覚えないとと聞いて一つ嫌なことを思い出しました。
「体罰みたいよね」
「ちっち、そう考えたら駄目よ」
「駄目なの」
「自然に動けるようになるって考えないと」
「そうなの」
「そうよ。だからね」
今度は私への話になりました。
「そういうふうには考えたら駄目よ」
「わかったわ。それに考えてみたら見当違いね」
「そういうこと」
「何かその言葉って悪いイメージがあって」
これは言い訳です。
「それでついそう思ったのよ」
「何でまたそんなイメージがついたの?」
「結構さ、変な先生って多いじゃない」
どうにもこうにも。テレビとか見ていると一番変な不祥事が多い職業なんじゃないかしらって思える位に。どうしてなのかは私にはわからないですけれど。
「うちの学校は違うけれど」
「ここはまたね」
「宗教の学校だから」
天理高校の先生はようぼくの人しかなれないんです。しかも面接が厳しいみたいで。それでいい先生が多いんだって言われています。少なくともおかしな先生は見たことないです。
「そうなるわよ」
「物凄い暴力教師とかはいないみたいね」
「暴力教師ってどんなの?」
一人が私に尋ねてきました。
「そりゃもう普通に生徒を殴ったり蹴ったりぶん投げたり」
「大昔の番長漫画じゃ
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