第二百三十七話 魔界衆その十一
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その民達を見てだ、フロイスは周りの神父達に言った。
「やはりこの国は」
「はい、信長公がおられてこそ」
「あの方がおられてこそですね」
「定まる」
「そうした国ですね」
「全くだです、ただ」
ここでだ、フロイスはこうも言ったのだった。
「一つ気になることは」
「気になること?」
「と、いいますと」
「それは」
「はい、この堺にもエスパニア、ポルトガルから行いのよくない者が来ていましたが」
「海賊やならず者ですね」
「コロンブスの下にいて暴れていた者達もいて」
「司教の方達もです」
その彼等もというのだ。
「中にはよからぬ方もいますが」
「そうした方々も」
「どういう訳か急にですね」
「堺からいなくなり」
「どうやらです」
「美麗島に行きましたね」
「あの島に」
利休が言った様にだった、まさに。
それでだ、ここでフロイスはこうも言ったのだった。
「あの島で何をしようとしているのか」
「それが問題ですね」
「まさかと思いますが」
ここでだ、怪訝な顔になってだった。
オルガンティーノがだ、こう言ったのだった。
「魔界衆と」
「信長公が言っておられた」
「あの者達とです」
まさにというのだ。
「結託しているのでは」
「美麗島に行った者達が」
「そう思いましたが、今」
「有り得ますね」
ここでだ、フロイスは。
怪訝な顔になってだ、こう言ったのだった。
「やはり」
「それでは」
「一つ美麗島のことを調べておきましょう」
これがフロイスの言葉だった。
「是非」
「そうですか」
「では美麗島にいるイエズス会の同志達にですね」
「声をかけて」
「話を聞きましょう」
「あの島の状況を」
フロイスの周りの者達も応えた、そしてだった。
彼等も彼等で動きはじめた、少なくともフロイス達に神の教えを広めるつもりはあっても神を利用して何かをするつもりはなかった。
それで美麗島の状況について調べることにした、その動きを見てだった。
堺で奉行を務めていた石田は首を傾げさせてだ、大谷に言った。
「そういえば我等はこれまでな」
「うむ、本朝のことは見ていてもな」
大谷も応えて言う。
「他の国のことはな」
「あまりだったな」
「明や南蛮のことも」
「暗かった」
つまりあまり知らなかったというのだ。
「どうもな」
「しかしそれをな」
「これからはな」
「目を向け耳を傾けてな」
「しっかりとせねばな」
「ならんな」
こう話すのだった、そしてだった。
二人は外の国にも目を向けることを真剣に考えだした、天下統一の後のことを。だが石田も今は堺にだけいられなかった。
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