第二百三十七話 魔界衆その十
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「これが何かわかるな」
「鬼切ですな」
「あの刀ですな」
「足利幕府の宝は全て収めてある」
義昭が都を追われた時にだ、義昭は僅かな供達を連れてほぼ身一つで都を出て今はある寺に出家して隠棲している。
「そしてじゃ」
「その鬼切も」
「上様の手にある」
「だからですな」
「上様は」
「そうじゃ、なれるのじゃ」
これからというのだ。
「だから帝の御前に参上する」
「では留守の間はお任せ下さいませ」
すぐにだ、平手が信長に言った。
「それがし達が安土を守っております故」
「頼むぞ」
「それでは」
「ではな」
「はい、それではですな」
「わしが安土に戻ればな」
都からだ、そうすればというのだ。
「伊賀を攻めるぞ」
「畏まりました」
平手は信長の今の言葉にも応えた。
「さすれば」
「ではこれから確かに見せようぞ」
「天下にですな」
「天下を治めるのは政じゃ」
それだというのだ。
「法であり徳じゃ」
「妖や怪ではありませぬな」
「そうしたもので世は収まらぬ」
「魔界衆の者達の力では」
「あの者達は世を惑わすだけじゃ」
それに過ぎぬ者達だというのだ。
「その様な者達が相手ならばな」
「負けませぬな」
「勝つ、そしてあの者達を完全に滅ぼし」
そのうえでというのだ。
「天下の泰平を長きものにするぞ」
「畏まりました」
「その為の戦じゃ」
「これからの戦は」
「天下の為の戦い」
「左様ですな」
「そういうことじゃ、ではここは任せた」
安土においての用意はというのだ。
「わしは上洛して来る」
「畏まりました」
「ではここはお任せ下さい」
「そしてそのうえで」
「ことを果たされて来て下さい」
大名達もこう言って信長に応えた、こうしてだった。
佐久間達の帰参と明智達への咎が決まりだった。そのうえでさらに動きがあった。信長は安土に帰ると早速動いていた。
天下は信長が無事だったと聞いて安堵した、民達もそのことを喜んで話をした。
「よかったのう」
「全くじゃな」
「前右府様が生きておられてな」
「一時はどうなるかとも思ったが」
「それでもな」
「あの方がおられねばな」
「天下は危うかったわ」
ようやく一つに戻った天下がというのだ。
「しかし前右府様はおられた」
「まことによかったわ」
「あの方がおられてこそじゃ」
「天下は確かじゃ」
「本当にな」
こうしたことを話すのだった、そしてだった。
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