7部分:第七章
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第七章
「もっとね」
「そうなの。幸せにね」
「なるのね」
「大石君の気持ちはわかっていたから」
だからだというのだ。
「それでね」
「そう。それだったら」
「そうしなさい」
「好きなだけで」
そんな優子に笑顔で話す。そしてだった。
教室に康史が来た。教室に入ると一直線に優子のところに来た。
「蓮美さん」
「大石君」
彼を見て思わず立ち上がる優子だった。
「来てくれたの」
「うん、今日のことでね」
「有り難う」
それを聞いてまずは礼を述べた優子だった。
「何処に行こうかな」
「何処でもいいわよ」
場所についてはこだわらないというのだ。
「大石君と一緒ならね」
「そうなの」
「ところでね」
ここまで話してであった。優子は不意にこんなことも言ってきた。
「これからだけれど」
「これから?」
「蓮美さんって言うのは止めてくれない?」
康史にこう告げるのだった。
「もうそれはね」
「それじゃあ何て呼べば」
「名前でいいから」
それでいいというのだ。
「それで呼んでみて」
「名前でなんだ」
「そう、名前でね」
また話した。
「呼んでみて」
「うん、じゃあ」
「ええ」
「優子・・・・・・さん」
言われるまま実際に呼んでみた。
「これでいいね」
「じゃあ私も」
「僕の名前呼んでくれるんだね」
「そうよ。康史君」
実際に呼んでみせたのだった。
「これからはお互いで呼びましょう」
「ええ。それじゃあ」
こう話す二人だった。皆はそんな二人を見てだ。わざと茶化すようにして言うのだった。
「妬けるわね」
「全く」
「結局あれなのね」
そして一人が言った。
「優子ってお菓子に困ってたのじゃなくて」
「何に困ってたっていうの?」
「それじゃあ」
「困ってたのじゃなくて欲しかったのよ」
そちらだというのだ。
「気持ちが欲しかったのよ」
「気持ちがなの」
「そう、気持ちが欲しかったの」
「ということはつまり」
「彼の」
ここで皆で康史を見るのだった。優子を見詰める康史をだ。
「気持ちが欲しかったのね」
「それだったの」
「そうね」
まさしくそれだと。彼女達もわかった。
「貰って困っているのじゃなくて欲しくて困っていた」
「そういうことだったのね」
「それで優子は貰ったわ」
結論が述べられた。
「無事ね」
「そうね。だからね」
「今は晴れやかな顔になった」
こう話されていく。
「そういうことなのね」
「成程ね」
皆温かい目で二人を見ていた。二人はそのまま笑顔でいた。そのうえで今は幸せの中にいてさらなる幸せを二人で見ているのであった。
プレゼントも困りもの 完
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