第15話グリセルダの亡霊
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彼は何の疑問もなく会話に入る。彼も死んでいたーーーシュミットがそう思うのは自然といえるのかーーー
「誰だ?お前を動かしたのは誰なんだ?」
己の前にいるのは己のよく知る夫婦の亡霊。夫の亡霊の問いにシュミットはーーー
「わ、解らない!本当だ!メモには『グリセルダが泊まった部屋に忍び込めるよう、回廊結晶の位置セーブをして、それをギルド共通ストレージに入れろ』と書いてあって・・・」
「・・・それで?」
グリムロックの亡霊はさらに問う。その雰囲気の圧力に小さく声をあげて怯む。
「お、俺がしたのは、それだけなんだ!俺は本来に、殺しの手伝いをする気なんかなかった!・・・信じてくれ!頼む!」
彼は殺しの共犯に仕立てあげられた。それだけは信じて欲しい。その悲痛の願いに対してグリムロックとグリセルダはーーー
「・・・全部録音したわよシュミット」
「・・・え?」
録音・・・グリセルダの口から出た言葉に小さく驚くシュミット。彼の前にいたのは亡霊などではなかった。
ライリュウside
「い、生きてるですって!?」
「ああ、生きてる」
「ヨルコさんも最初に死んだと思われたカインズさんもな」
アスナさんの驚愕の声にもキリトはそっけなく反す。いや、オレもか。とにかくーーー誰も死んでなかったんだ。
「だ、だって・・・」
そりゃ目の前で人が消えるのを二回も見たから信じられないだろうなーーーでも《圏内》でも消える物は他にある。
「《圏内》ではプレイヤーのHPは基本的に減らない。でも・・・」
「オブジェクトの耐久値は減る。さっきキリトが落としたバケットサンドみたいに」
あの光景がこの《圏内事件》のトリックを破る大きなヒントになった。
「あの時、カインズのアーマーは槍に貫通されてた。槍が削っていたのはカインズのHPじゃなくて、鎧の耐久値なんだ」
「じゃ、じゃあ、あの時砕けて飛び散ったのは・・・」
「そう、彼の鎧だけだったんだ。そしてまさに、鎧が砕ける瞬間を狙って、その中身のカインズさんは・・・」
ーーー転移結晶で転移したーーー
「その結果、発生するのは《死亡エフェクト》に限りなく近い・・・でも全く別の物」
「・・・ならヨルコさんも?」
「ああ、彼女は最初からダガーを背中に刺した状態でオレたちと話していたんだ」
「最初から?確かわたしたちがシュミットさんを連れて来るまでライリュウくんが・・・」
そう、オレが彼女についていた。なのに気付かなかった。
「オレ一度彼女から二分近く離れちゃって・・・。多分その時だと思う」
「よく思い出してみろよ、あの部屋で彼女一度も背中を見せ
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