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女神の子は宇宙を抱きダンジョンで何を思うか
2話

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「マーマ、マーマ」

「はい、はい。ご飯の時間よ」

フレイヤは衣服の一部をはだけさせ、豊満で魅惑的な胸を曝け出す。
赤子は手を必死に伸ばし、片方を掴み、ゴクゴクの乳を飲んでいく。
その光景は、まるで聖母が神の子に慈しみ、乳を与える所を、有名な芸術家が絵画にしたかの様に、意識が吸い込まれ、何物にも冒しがたい神聖なモノを感じさせる。
それをまさに、オッタルを含めるフレイヤ・ファミリアの者達は、目の前にして、それを感じさせた。

フレイヤが赤子を見つけて、幾月が経った。
最初の頃は、我らが主神が赤子を自身の子にすると言われ驚愕し、赤子の癖に我らが主神の窮愛を受ける事を羨ましく思う嫉妬が入り混じった複雑な気持ちを眷属は抱いていた。
しかし、その赤子の魅力か、フレイヤの怒りを怖れてか、赤子がフレイヤと同じ銀髪(・・)紫の瞳(・・・)をしているからか、次第に認め始めていった。

そんな赤子の名前はヴァン・ヴァナディース。
フレイヤの古き二つ名と族名であり、私の子という意味を込めて授けた。

「…フフフ、貴方達、何か聞きたい顔をしてるわね」

「…フレイヤ様、不躾ながら質問をしてもよろしいでしょうか?」

「どうしたのかしら?オッタル」

「フレイヤ様のお子様は、当初は白髪でした。その頃はまだ、目が開いていませんでしたので、瞳については偶然の可能性も否めませんが、それにしても…」

フレイヤは笑う。
妖艶に、小さく、それでいてそこにいる全てに響く微笑みを。

「それはね。この子が進化したのよ」

「進化、ですか」

「そうよ。私も最初は驚いたわ。私という神の存在により授けられる乳、そしてそれを受け入れる程の広大な魂の器、それらの要因が、この子をヒューマンという人族から進化させたのよ。既にこの子は人族ではなく、かといって神の存在でも無い、精霊に近い存在。名付けるならば、デミ・ゴッズと言う所かしら」

眷属達は息を呑む。
そして、納得した。
何故、主神の愛に狂った我等がこの赤子を認めたのか、何故、我等の中から嫉妬の心が消えたのか、今まさに理解したのだ。
ヴァン・ヴァナディースは、フレイヤに最も近い存在なのだ。

「ンクッ、ンクッ…プハッ」

「あら、もうお腹一杯?はい、?気しましょうね。トントントン」

赤子はフレイヤに優しく背中を叩かれ、ケフッと?気をする。
そして、お腹一杯になり、フレイヤの腕の中でスヤスヤと眠る。
フレイヤは軽く揺すりながら、ヴァンを揺籠に寝かせる。

「フレイヤ様、あの子に神の血は与えるのですか?」

「そうね、アレン。この子がもう少し、大きくなった時に与えようかしら」

フレイヤは外を眺めて、惚ける様に溜息を出す。

「その時が、楽しみね」
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