アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの共闘を 05
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話した」
「で、なんて?」
「無茶はしないでねって、それだけだったな」
「ふうん……」
まあ、あの人の性格を考慮に入れれば納得できる話しだ。
キリトに対してあの人は、どう取り繕っても引け目を感じている。 だからもし、キリトがアスナさんとそう言う関係になるのなら、きっと文句を言うでもなく身を引くだろう。
一緒に戦えない。
それは剣の世界であるここではかなりのウエイトを占める引け目であり負い目だ。 そう言う人間関係の機微に疎いキリトは、あの人が苦しんでいることを知らない。
アスナさんの恋を応援しているのは本音だ。 色々と辛い思いや苦しい思いをアスナさんがしてきているのは僕も知っている。 そして、今もそれらが続いていることも、やっぱり僕は知っている。
そうでなくてもアスナさんはアマリのお姉さんで、いずれ僕の姉になる人だ。 できれば失恋して欲しくはない。
けど、それと同様に、あの人の恋が終わってしまうことを嫌だと思っているのも本音なのだ。
キリトとあの人との関係が終わってしまえば、言葉でどう言おうと悲しむことは目に見えている。 悲しみながら、それでもキリトから身を引くだろう未来まで、容易に想像できてしまう。
ダブルスタンダードとは少し違うけど、矛盾した思いを抱いているのは確かだ。
「やれやれ、恋って難しいね」
「あはー、それはフォラスくんが難しく考えるからですよー」
「あはは、全く以ってその通りだよ」
はあ、と吐いたため息にキリトが気まずげに目を逸らし、アスナさんが首を傾げるのだった。
「ん、なんか重くなってきたね」
「そうですね。 ボス部屋が近いのでしょうか?」
「だろうな。 マップの空白部分も少ないし、多分もうすぐ……」
「あ、見えてきたですよー」
あれから数回の戦闘を消化した僕たちは、アマリが指差す方向を見て緊張の度合いを更に高めた。
長い長い通路の先。 そこに見えるのは、重厚で禍々しい巨大な扉。
もう何度も見てきたボス部屋へと続く扉が、そこにはあった。
多分意識してのことではないだろうけど、アマリが僕の手を、アスナさんがキリトのコートの袖を、それぞれギュッと掴む。
最強格に数えられる剣士の1人であるアスナさんでもさすがに怖いらしい。 ちなみにアマリの場合はその逆で、今にもあの扉の奥に駆け込みたいと言う衝動(あるいは狂気)を自制するための行動だ。
「どうする……? 覗くだけ覗いてみる?」
「あっはぁ、賛成ですよー」
「そうだな。 ボスの姿くらいは見とかないと対策の立てようもないし……」
「だね。 まあでも大丈夫だよ。 ボスが部屋から出たりはしないし、最悪、
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