第十九話 夏ですその三
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「甲子園のせいでね」
「私達も応援に行ってるから変なことは言えないけれど」
天理高校は甲子園の常連です。ですから変なことは言えないのです。
「最近夏でも強いのはあれかしら。やっぱりドームとかが」
「あと新幹線じゃないの?」
すぐに行き来できます。神戸から大阪なんてあっという間です。
「やっぱり」
「昔からあったけれどね、新幹線は」
「まあ色々あって強くなったけれどね」
「何にしろ強くなったのはいいことだわ」
「そうね」
阪神の話になると盛り上がります。神戸に実家がある私としては耳障りのいいお話です。贔屓のチームのいい話はやっぱり聞いていて楽しいです。
「そういえばうちの高校今年どうかしら」
「かなりいいみたいよ」
我が天理高校野球部の話も出て来ました。
「何でも今年はとりわけ戦力が揃ってるそうよ」
「じゃあ甲子園期待できるわね」
「そうね。今から楽しみよ」
「甲子園かあ」
私は甲子園と聞いてあの緑の蔦を思い浮かべました。
「あの緑がいいのよね」
「球場も広いしね」
「見ているだけで気持ちがいい場所よね」
「あんな球場甲子園だけよ」
あんな素晴らしい球場でプレイできる阪神の選手と高校球児って本当に幸せだと思います。一番気持ちいいのはあそこで巨人に勝つ試合です。
「今年も行きたいわよね」
「応援でね」
「その為にはまず」
「ええ、わかってるわ」
話は急に面白くないお話に戻りました。
「何とかテストを乗り切らないとね」
「気持ちよく夏にはならないわよね」
「そういうことね。それにしてもこの学校」
「何?」
不意に自宅生の娘が私達に言ってきました。
「テストに教義ってあるのね」
「それがおかしいの?」
「おかしっていうかね」
何か微妙な顔をしています。
「ておどりだけでもびっくりしたのにそれもなんて」
「普通よね」
「当然じゃない」
私達は彼女にこう言葉を返しました。私達にとっては普通なんですけれど。
「私高校から天理教知ったから」
「ああ、そうだったわね」
「そういえば」
奈良県から来ている人ではこうした人も多いです。そこからおみちに入るっていう方もおられてそういうところは人それぞれなんです。
「だから。テストも」
「大丈夫よ、覚えるだけだから」
「そうそう」
私達はこう言って彼女を励ましました。
「普通の地理とかと一緒だから」
「気にしなくていいわよ」
「そうなの」
私達の話を聞いて顔を少しあげてきました。ほっとした感じの顔になっています。
「だったら。普通にテストを受ければいいのね」
「勉強はしたわよね」
「ええ」
私はしていないです。こう言ったら嫌味になりますけれど家が教会なので知っていますので。それで勉強しなくても
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