3部分:第三章
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第三章
「優子、食べましょう」
「それでいいわよね」
「当然あんたもね」
「あっ、うん」
優子は戸惑いながら皆の言葉に頷く。
「わかったわ」
「いやあ、ドーナツっていいよね」
「そうよね」
「美味しいし」
「優子ドーナツ好きなのよ」
ここで一人が言った。
「そうよね。嬉しいわよね」
「ドーナツで」
「まあそれは」
周りから言われるとだった。優子にしても答えるしかなかった。項垂れた顔になってそのうえで答えるのであった。
「そうだけれど」
「優子嬉しいって」
「よかったわね」
「甘いもの大好きだから」
「そうなんだ」
それを聞いて顔を晴れやかなものにさせていく康史だった。
「それじゃあ」
「またクラスで何かあったら御願いね」
「それでね」
「うん、それだったら」
こうしてであった。康史もその晴れやかなものになった顔で言うのであった。
「また。何かあったらね」
「頼むわね」
「優子の為にもね」
「ええと、それは」
康史の顔は優子の名前が出るとまた真っ赤になった。
「あの」
「あの?」
「ちょっと」
こう言うだけであった。
「何ていうか」
「何ていうかって」
「いいじゃない」
「ねえ」
皆は優子の考えがわかったうえでにこにことして話すのであった。
「また御願いね」
「余ったらね」
「優子も喜ぶから」
「蓮美さんが」
康史はその言葉にまた反応した。顔が真っ赤になる。白い顔も今では朱がさしたように真っ赤である。その顔で優子を見るのだった。
「そうですか」
「そうよ。またね」
「御願いするわ」
また康史に言う周りだった。すると彼もだ。
「わかったよ。それじゃあね」
「ねえ、優子」
「そういうことでね」
「うう・・・・・・」
優子は顔を真っ赤にさせたまま沈黙した。そうしてだった。
康史が去ってからだ。優子はその真っ赤な顔で皆に抗議するのだった。
「ちょっと、何言ってるのよ皆で」
「だから。周り見なさいって」
「わかる?それ」
「そうすればあんたがどうすればいいかわかるから」
周りはにこにことして話すのだった。
「それによ。あんた達って」
「私達って?」
「どうしたのよ」
「一体」
「からかってるでしょ、私のこと」
むっとした顔で抗議するのだった。
「実際。大石君けしかけて」
「ああ、それは違うから」
「そのことは安心して」
周りは急に真面目な顔になってそれは否定した。
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