第14話目の前で消えた
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ヨルコさんを宿屋に送ってから数十分後、キリトとアスナさんがシュミットさんを連れて帰ってきた。そのシュミットさんは今、ソファに座って若干イラついてるかのように足を鳴らしている。
「グリムロックの武器でカインズが殺されたというのは、本当なのか?」
「・・・本当よ」
シュミットさんの問いに対してのヨルコさんの返答はそれだけ。ただそれだけの一言でシュミットさんの顔は驚愕と恐怖で歪んだ。
「なんで今さらカインズが殺されるんだ!?あいつが、あいつが指輪を奪ったのか!?グリセルダを殺したのはあいつだったのか!?グリムロックは売却に反対した3人を全員殺す気なのか!?俺やお前も狙われているのか!」
「グリムロックさんに槍を作ってもらったのは他のメンバーの仕業かもしれないし、もしかしたら・・・グリセルダさん自身の復讐なのかもしれない。だって圏内で人を殺すなんてこと、幽霊でもないかぎり不可能だわ」
グリセルダさん自身ーーー彼女はすでに死んでいる。彼女自身が復讐なんてこと、出来るはずがない。それこそ、不死身のゾンビや幽霊でもないかぎりな。
それを聞いたシュミットさんは上手く呂律が回らない。
するとヨルコさんが立ち上がりーーー
「私、夕べ寝ないで考えた。・・・・・・結局の所!グリセルダさんを殺したのはあのメンバー全員でもあるのよ!?あの指輪がドロップした時、投票なんかしないでグリセルダさんの指示に従ってれば良かったんだわ!!」
「「「・・・」」」
オレ、キリト、アスナさんは後悔と恐怖に心を染めたヨルコさんの豹変ぶりに絶句することしか出来なかった。
ヨルコさんはそのままゆっくりと後ろに下がって窓際にくっつく。
「ただ一人、グリムロックさんだけはグリセルダさんに任せると言った。だから、あの人には私たち全員に復讐して、グリセルダさんの仇を討つ権利があるんだわ」
「冗談じゃない、冗談じゃないぞ・・・今さら!半年も経ってから、何を今さら!お前はそれでいいのかよヨルコ!?こんな訳の解らない方法で殺されていいのか!?」
悲劇から半年を過ぎた復讐に巻き込まれていいのか。それに興奮したシュミットさんの左手をキリトが抑える。
ーーードスッーーー
この瞬間、鈍い音が響いた。発信元はーーーヨルコさん。
「ーーーヨルコさん?」
オレが彼女の名を呼ぶと、突然彼女はふらついた。背中にはカインズを刺した槍と似た形状のナイフが刺さっていた。そのままヨルコさんは窓から外に落ちた。
オレとキリトはすぐに窓から顔を出した。
「ヨルコさん!」
「おい!ヨルコs・・・」
オレは最後まで叫べなかった。ヨルコさんの身体は歪み始め、そのままーーー
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