Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 11. Don't judge by appearance (3)
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直後、背後にイヤな気配。刀を引き戻すのは間に合わないと直感的に判断して、その場で思いっきり伏せる。地面ぎりぎりまで低くした俺の頭上を何かが薙ぎ払う。それの通過を空を裂く音で感じとってから、振り向きざまに刀を斬り上げ、襲撃してきたナニかの胴を切っ先で抉る。捻じれたような体勢を立て直しつつさらに二発の斬撃を叩き込み、最後に全力の刺突を一閃。刀の根元まで、そいつの額に目一杯突き込んだ。
ソードスキル無しとはいえ、筋力重視のステータス構成の俺の斬撃には、こいつの少ないHPを削りきるのに十分な威力があった。HPバーがゼロになり、他の奴より上等な装備を付けたゴブリンは声も上げずに砕け散った。
隠密行動で接近してきていたのは、『シーフゴブリン』の上位種、『シャドウゴブリン』だった。前者がただ暗闇に潜んでいるだけなのに対し、後者は『隠蔽』スキルで身を隠しているから、肉眼だけじゃ見つけられない。コイツがいるせいで、西部に行けるのは一定以上の熟練度に達した『索敵』スキル持ちがいるパーティー、ないしは個人に限られてる。微かな音と気配さえ読めりゃあ、別にスキルがなくてもいいんだけどな。
「ほら見ろ、俺一人でも問題ねえんだよ」
「けっこーギリギリだったけどねー」
「うっせ、勝ちゃいいんだよ、勝ちゃ。キリト、次はどっちだ」
「えーっと、次の場所は、と……そこを真っ直ぐ行った先、三つ目の角にある部屋かな」
「つーことは……あっちか。よし、行こうぜ」
「おー」
他のゴブリン共を片付けたキリトとマツリと合流し、そのまま次の目的地へと向かう。これで四か所目だが、目当てのブツが出る気配は一向にない。こりゃ長引きそうだ。このままクエストが長期化したら、野営ってことになるな……NPCってメシ食うのか? つうか食えんのか?
「にしても、自分の刀を落っことすとか、お前真性のバカだろ。そんなんでよく遺跡の警備なんてやれてんな」
「ぶーぶー、バカバカ言わないでよー。まあ確かに、大事な刀をなくしちゃったのは、ちょっぴりお間抜けさんだったかもだけどー」
「武器喪失はこの世界で考え得る中で最悪って言ってもいい死因だ。ちょっぴりじゃ済まないと思うけど」
「うぅ、キリトくんまでわたしを虐める……」
「いや、だって本当のことだし」
苦笑するキリトを見て、マツリはむくれたような表情を浮かべてそっぽを向いた。これをやったのがリーナぐらい外見年齢だったら問題ねえんだが、コイツはどう見ても俺よりも二つか三つは上だ。大人の面でそんな子供っぽい仕草をされると、わざとらしさと違和感がハンパねえ。ルキアの猫かぶりといい勝負じゃねえか。現世に来たばっかりの頃、公園のベンチで恐怖漫画朗読をやってたちっこい死神を思い出しつつ、俺はマ
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