Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 10. Don't judge by appearance (2)
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……」
とりあえず話しかけてみた、といった感じのキリトも、至極フランクな女の返答を受けて狐につままれたような表情になり、そのまま黙ってしまった。色々言いたいことがありすぎて、何から突っ込めばいいのやら。
戸惑う俺たちの前で、女はニッと笑うと声高らかに話し始めた。
「初めまして、かな? 話を聞いた感じだと、わたしの存在自体はもう知ってるみたいだけど」
「ああ、いるってことだけは知ってたけど、詳しいことはなんにも……」
「だよねだよねー。わたし、人に見つかりそうになる度に『光曲』で逃げてたもん。今回はキミらに用があったから出てきたんだけど、フツーに『ハロー!』っていってもつまんないから、あえて先制攻撃してみたんだ。ま、全部避けられちゃったけどね。よっ、ナイス反応!」
「お、おう。そりゃどーも……」
『光曲』という聞いたことのない単語が出てきた。話の流れからして、例の「霧のように消える」現象を引き起こしたスキルの名称っぽいが、NPCってことは固有の能力の可能性も高い。こいつに限らず、戦闘が可能なNPCの中にはクエスト用に特異な能力を保有してる奴も多いと聞く。エフェクト無しでその場から一瞬で消失するなんて反則級の能力だが、コイツが敵対的じゃなかったのがせめてもの救いだな。
様々な情報が飛び出してきて少し混乱したが、女がさらさら喋ってくれるおかげでこっちの調子もなんとか戻ってきた。出会いがしらのアレは、もうメンドクサイからなかったことにしよう。フツーじゃつまんないから、とか納得いかねえ理由が聞こえた気がしたが、深く突っ込んでも釈明も謝罪も効けそうにない。そんな実りの無さそうな事案は脇に追いやって、俺はもう一度疑問をぶつけてみることにした。
「なあアンタ、ちょっと訊きてえことがあるんだが」
「ん? なにナニ?」
「アンタは一体何モンなんだ? 俺たちに用ってのは何なんだ?」
「あ、やっぱりソコ気になる? 気になっちゃう? 気にしちゃいますー?」
またなんかキャラが変わった。話し方も煽るようなウザイ口調に切り替わってる。ホント、なんなんだコイツ。
もう一々気にしてたらキリがない気がしてきた。「これは多分演技だ」と自分に言い聞かせて腹の底のイライラを鎮め、俺は再三同じ問いを投げる。
「ああ気になる。だから答えてくれ。オメーは一体、何モンなんだよ」
「やー、どうしよっかなー。言おうかなー、ヒミツにしとこうかなー」
「……地面に沈めるぞテメエ、さっさと素直に答えろ」
「えー、別に言わなきゃいけないギムとかないしー、どうしよっかなー?」
女はこっちを馬鹿にしたような視線を向けつつ「どうしよっかなー?」を連発しだした。顔に張り付いた余裕の笑みがウザさを加速させる。
いつもなら帰るかぶん殴るかの
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