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Deathberry and Deathgame
Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 10. Don't judge by appearance (2)
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く波打つダークブラウンの髪で、通路の明かりを反射して艶やかに輝いていた。
 そして、アメジストのような紫の瞳の収まった切れ長の両目には、大粒の涙が溜まっていた。

「……ご、ごめんなさぃ、いきなり蹴りつけてしまって……お、お詫びに、なんでも、なんでもしますからぁ……赦して、くださぃ……ぐすっ……」

 写真の外套女こと、女性NPCはそう言ってポロポロと涙を零した。



 ◆



 モンスターハウスのアラートを思わせる音量でマジ泣きしだした外套女によって、俺とキリトは熟考するヒマもなくその場からの撤退を余儀なくされた。『索敵』スキルでモンスターの湧きを警戒するキリトの先導で、俺は外套女を肩に担いで猛ダッシュした。NPCに不必要に接触するとハラスメントでふっ飛ばされるハズなんだが、今回は都合のいいことにそんなことはなく、泣きじゃくる女NPCは大人しく――ギャン泣きの音量的には大暴れなんだが――俺に担がれていた。

 幸いモンスターとのエンカウントは一体だけで済み、キリトの強引な三連撃ソードスキルであっさり撃破。次が湧いてくる前に、俺たちは二階層下の安全エリアに逃げ込むことができた。

 存在しないはずの酸素を仮想の肺に供給するべく俺たちがゼーゼーやってる横で、女はまだグスグスやっていた。

「ひぐっ……ごめんなさい、ごめんなさいぃ…………」
「……よお、オメーいい加減泣き止めよ。別になんも怒っちゃいねえんだから」
「うぅっ……ぐすっ……ほ、ほんと、ですか……?」

 涙に濡れた瞳で外套女が俺を見る。顔立ちが整ってる分泣き顔に艶っぽさがあって、ちょっとだけ心臓の鼓動が早くなる。こういう時、美人ってのはズルいよな、とか思ってしまうが、今はその考えをねじ伏せ、なるったけ穏やかな声で俺は応えてやる。

「ああ、ほんとだ。俺たちは怒ってねえし、お前に危害を加えるつもりもねえ。だから、お前が何者で、あそこで何をやってたのかを教えて――」
「あ、そうなんだ。いやーよかったー」
「「………………は?」」

 途端に元気になった女の姿に、キリトと俺の声が完全にハモった。一瞬のズレもなく、完璧に。

 あれ? さっきまでコイツ、マジで泣いてたよな? なんで一瞬後にはけろっとしてんだ? さっきまでと最早別人レベルで性格変わってねえか? あのビクビクしてた態度はドコいった?
 ハテナだらけの俺たちを余所に、女は立ちあがりうーんっ、と伸びをして、外套の裾をパンパンと叩いて埃を払った。そのまま何故かくるりとその場でターン、外套の裾がドレスのように広がりたなびくが、そこはどうでもいい。

「……えーっと、その……ケガとかは、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。しっかり無傷だよん。あんがとねー」
「そ、そっか、そりゃあ何より
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