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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
5話 前も後ろも障害物(アブスタクル)
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とダンタリオンは廃工場に付いた。するとそこに、クロノスが居た。テレビで見るより若々しく見える。年で言えば僕と同い年だろう。
 クロノスは僕を見た。僕を見て、一瞬で気づいた。
 「お前。名前はなんていう?」
 
 僕が快楽殺人者だということを。
 
 「矢渕カリヒだ。カリヒと呼んでくれても構わない」
 「よろしくなカリヒ。俺はクロノスだ」
 クロノスは頬を引きつらせた。彼は殺人をしかたなく行っている。僕は殺人を楽しんで行っている。
 これだけの違いが在る人間が互いに互いが同類だと気づいていた。
 「ダンタリオン。君は仇討ちをするつもりは在るか?」
 「はい!」
 ダンタリオンは鞄に手を突っ込む。突っ込んだ瞬間に気づいた。ダンタリオンはスコーピオンを持ってきていない。
 「こいつは…ああ。俺が此処を襲撃しに来た時に逃げた唯一の人間だな」
 ダンタリオンは死ぬ気だ。僕はこれを止めるべきか?それとも、僕はこいつを殺すべきか…。放っとくべきか?
 「ダンタリオン。済まない」
 僕はダンタリオンの後頭部を撃ちぬく。同時にクロノスもM16でダンタリオンの眉間を撃ちぬく。
 「なんで撃った?」
 クロノスは僕に問う。僕はクロノスに答える。
 「ダンタリオンは武器を持ってきていなかった」
 クロノスは高笑いをして続ける。
 「狂ってる!狂ってるぜ!カリヒ!」
 僕はさっきの殺しでスイッチを入れた。どうせ死ぬんだったら僕が殺してもいいだろう。
 僕は彼に銃口を向けた。
 クロノスは僕に銃口を向けた。
 「カリヒ。お前は何を思って大統領暗殺を試みた?」
 「クロノス。君はどうして大統領を守る?」
 同時に問う僕ら。
 「僕は奴隷制度に恨みがある。だが、殺人は好きだ」
 「俺は金を渡されたから大統領を守る」
 同時に答えた。僕達は似た者同士だ。僕たちは同族だ。
 僕は同族嫌悪が酷い。
 クロノスは同族嫌悪が高い。
 僕を殺せるのは僕だけだ。
 クロノスを殺せるのはクロノスだけだ。
 違った。僕を殺せるのは僕とクロノスだけだ。
 違った。クロノスを殺せるのはクロノスと僕だけだ。
 「君を殺す」
 「お前を殺す」
 
                ……続く
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