暁 〜小説投稿サイト〜
殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
5話 前も後ろも障害物(アブスタクル)
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答える。
 「そうですね。自分は一応、小銃が得意ですね」
 「アサルトライフルか。愛銃はあるか?」
 またルースフェルトは顔を顰める。彼は銃には詳しくない。そのため答えられなかった。クロノスは「まあ良いや」と、話を切り替え、メリラにも問う。
 「お前はどうだ?」
 「わ、私ですか?私はスナイパーライフルを使います」
 「お前たちには愛用の銃がないのか」
 「私は支給された武器を使うだけで、特に愛用とかはありません」
 クロノスは銃種に詳しいわけではないが、彼の率いる部隊の連中がどれくらい優れているのか気になったのだ。
 「おい。お前ら。仕事だ」
 クロノスはM16アサルトライフルを手に取り、大統領を左手で押す。よろけた大統領を掠め、銃弾が滑空する。
 そしてクロノスは弾丸が飛んできた所に向けてM16を連射する。
 「逃げられたか」
 暗殺者が大統領を襲いに来ていた。距離は5キロ先、微弱な殺気と気の迷いがクロノスには手に取るようにわかった。それ以外に、彼は敵は15前後の少女であることも理解していた。
 野生の勘とも言える彼の戦闘本能は常人を超え、独自のプロファイリングと織り混ぜ、離れている敵を詳細を知ることが出来る。
 

 僕は花火を買い、アパートに戻る。
 「只今」
 アパートに戻るとゾロターンを手入れしているアーシャが居た。
 「どうした?」
 まさか銃を持ってくるとは持っていなかった。
 「ねえ、どこで銃を買ってきたの?」
 アーシャは泣いていた。
 僕はテレビをつける。すると大統領、シャルラッハート・ワシントンが衛星放送で演説し、その間に狙撃された。それを若い男がその銃弾を回避させた。
 「アーシャか、これをやったの?」
 「ごめんなさい」
 「追手や証拠は無いな?」
 アーシャは頷く。
 「よくやったアーシャ。まずは牽制と明確な敵の姿が見えた」
 僕はこの男の姿を脳に刻む。
 「敵は、この青年は恐らくアーシャの性格、格好、年齢をすべて把握しただろう。相当だな。感情だけでここまで理解したか」
 アーシャはゾロターンを壁の向こうに仕舞った。
 「当分外に出ません」
 「いや、あと3日後に殴りこみだ。下手に防戦に回るとこっちがやられる」
 今、リーナが帰ってきた。
 「只今帰りました。大変です。大統領が攻撃されました」
 「そんなことは知っている。しかし、何が大変なんだ?」
 僕は花火を開き、火薬を取り出し、まとめ爆弾を作ろうとした。
 「攻撃されたことが大変じゃないんです!攻撃を防いだ人が大変なんです!」
 「さっきニュースで取り上げられていた。男が気づいて回避していた」
 リーナはファックスの紙を僕に見せてくる。先ほどニュースで見た男が写真に乗っていた。
 「誰だ?」
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