Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
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っきまでの数倍軽くなったように感じる身体で、俺たちは蔦の嵐の中に一気に飛び込んだ。当然のように八本の蔦が迫ってくるが、
「トロいんだよ!!」
俺はただの斬撃でそれらを弾き返した。
『死力』スキル発動中は特に筋力が大幅に上昇し、移動のスピードと踏み込みでブーストすれば、ソードスキルにも劣らない威力を叩き出すことが可能だ。今までスキが大きくて弾くよりも回避を優先していたが、この状態なら真正面から打ち返せる。俺が正面と側面からの攻撃を弾き、背後はリーナがしっかりアシストすることで、たった十メートル弱の間合いに満ちる死線を、俺たちは次々に踏破していく。
「ッ!? 一護、上!!」
リーナの声に俺は視線を上げる。
そこには、蔦を捻じり合わせて一本にまとめ上げ、こちらに向けて突き込もうと構えるネペントの姿があった。本体についたやたらデカイ口が、ニヤリと歪んだように見えた。
「連撃じゃ俺等を止められねえからって、蔦を一つにまとめやがったか。いいぜ、来いよ!!」
俺は刀を八相に構え、一直線に本体目掛けて突っ込んでいく。
矢弓のように引き絞られた蔦の先が俺に照準をあわせ、滅却師の矢並の速度でそれが打ち出された瞬間、
「おおおおおおおオオオオッ!!」
俺は咆哮と共にソードスキルを撃ち込んだ。逆袈裟、斬り上げ、袈裟斬り。雪の結晶を描くように振るわれる斬撃全てを、蔦の先端に叩きつける。曲刀三連撃《アスタリスク》、俺の今最高の威力を誇る連撃は、極太の蔦の束を左端の壁までふっ飛ばした。
「今だ、リーナ!!」
「スイッチ」
その蔦が引き戻される前に、リーナが短剣を下段に構えて本体に肉薄する。蒼い残光を引きながら突貫したリーナの《バウンドノート》が発動し、守るもののない本体に二連続の強打を与える。予想通り、ネペント系らしく防御はもろいようで、HPがみるみるうちに減っていく。
後は俺が追撃して終い、そう思った瞬間、
「駄目だリーナ! 避けろォ!!」
俺は咄嗟に叫んだ。
大きく裂けた奴の口、そこから長い舌がズルリと伸び、今まさに二撃目を終えようとしているリーナへと狙いを付けていた。
アレを食らえば命はねえ! 俺が行って間に合うか!? こうなりゃ剣を投げてでも攻撃を止めてやる――俺がそう考えた時、
「――甘い」
リーナの身体がぐるんっと急旋回、間一髪で舌の刺突を躱した。さらにその勢いのまま後ろ回し蹴りによるカウンターをブチ込み、
「トドメ!!」
正面に向くと同時に剣を投げ捨て、高速の拳打二連発を叩き込んだ。
短剣二連撃《バウンドノート》プラス、体術スキルによる三連撃《参胴打》。計五連撃の合わせ技全てがネペントに命中し、そして、
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