Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
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獄を見る必要があったが、その見返りとしては十分以上の上昇率を誇る、最後の命綱に相応しいスキルだ。
ただ、デメリットもある。効果が切れると、今度はHP以外のステータスが減少してしまう。元の上昇率が高いほど、発動後の減少する割合も大きくなり、熟練度が高い程効果時間も長くなるが、その後のペナルティタイムもそれに比例して延びる。正しく「死力を尽くす」スキルだ。
「……確かに、『死力』スキルのパラメータ補正は大きい。攻撃力は高くてもHPと防御が低いネペント系相手なら、効果時間内に押し切れる可能性はある。でも、もし失敗したら……」
「らしくねーぞリーナ!」
二人まとめて打擲しようと打ちかかってきた蔦の軌道を《エル・ファング》で逸らしながら、俺は相棒の言葉を遮って怒鳴る。
「可能性が低かろうが何だろうが、やる以外に道はねえんだよ! 失敗したときのことなんか聞かねえ! 勝たなきゃ死ぬってンなら、あの夜オメーが言ったように『勝てばいいだけの話』だろーが!! 腹にいいモン一発もらったぐらいで、弱気になってんじゃねーよ!!」
腹の底から叫んだ俺の言葉に、すぐには反応は返ってこなかった。
ただ、ゴンッ、と頭を硬い物で殴ったときのような鈍い音が一度だけ、俺の耳に届いた。
何の音だ、と俺が問う前に、
「……どっちが行く?」
いつもの冷静な声が聞こえた。思わず口元に笑みが浮かぶのを感じながら、俺は大声で応える。
「いつも通りだ! 俺が突っ込んでアイツの右を空ける! そこに飛び込んで一気に仕留めてくれ!!」
「わかった。発動は?」
「十秒後だ! いいな!?」
「おーらい」
カタコト英語の返答を聞き、俺は再び前方のネペントへと集中する。
そうだ、何が「迂闊に攻撃できない」だ。言葉に出てなかっただけで、ビビッてんのは俺もじゃねーか。
今更なにを躊躇してんだよ、俺は。マトモに当たれば即死するような攻撃なんて、今まで散々あったじゃねえか。剣八、白哉、グリムジョー、ウルキオラ、藍染、思い返せばキリがないくらいの「必殺の一撃」を出されても、それでも俺は勝ってきたんだ。頼りになる相棒もいる今、たった一体の化け物相手に、何を恐れるってんだ!!
「……三、ニ、一。一護、いくよ」
「……ああ、いいぜ!!」
「「――【恐怖を捨てろ。『死力』スキル、発動】」」
刹那、爆発的な光の奔流が俺たちを飲み込んだ。
霊圧の放出を思わせる青白い光が全身を覆い、角の生えたドクロのアイコンがHPバーの上に追加される。そして、視界の右上に小さく表示されるカウントダウンタイマー。これが効果時間のリミットを示す。
『死力』スキルの発動が、完了した。
「行くぜ!!」
「うん」
さ
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